第12話 通告



「よし、ある程度の探索は済んだな」


 突然の初戦を終えたチーム「閃光」は、森の木々に身を隠しながらドロップアイテムを回収かつマップの探索をしていた。途中で2度、同じように探索をしていたチームと遭遇したものの、カイナの魔法援護とテルの炎の鉤爪によって危なげなく勝利し、計4人のプレイヤーが身をサイコロステーキへ変換された。


「魔法も補充できたから……そろそろ別のエリアに移動しても問題なさそう」


 元から持っていた魔法に加え、敵プレイヤーから奪ったアイテムと木々や藪の中から回収したアイテムをまとめると、二人の持ち物は以下の通りになった。



 カイナ……Ignis(火の魔法)×3

    ……Aqua(水の魔法)×5

    ……Tonitrus(雷の魔法)×4

    ……refec(回復魔法)×1



 アーテル……Ignis×3

     ……Tonitrus×3

     ……refec×2

     ……鉄の鉤爪(火の魔法を付与)×1



 主に回復系は前線で戦うアルが多く持ち、逆に魔法は後方から支援することが多いカイナが多く持つようにしていた。魔法が隠されてそうな大樹に魔法か鉤爪をぶつけた結果、refecがいくつか手に入ったおかげで、戦闘で消費した分も含め余裕のある個数となった。


「鉤爪に耐久値があってそろそろ壊れそうだけど、refecに武器の耐久値を回復する効果があったから何とかなりそう」


「そうだよな~。まさかのすぎてびっくりした。そう考えると回復系の魔法はレアなのかもな」


「なら次は砂漠みたいな場所に行こ。さっき端まで行って見えたから、ここからそう離れてないはず」


「お、そうだな。なら移動す……なんだ?」


 カイナが移動しようとした時、手元のデバイスがバイブ音を響かせ震え出した。いままでデバイスが震えることがなかったので、移動を辞め、一旦足を止めて確認する。


「運営から連絡か……?」


 カイナの予想は少々外れた。

 運営からではなく、カイナ達を島に送り込んだそれぞれの支援国から全プレイヤーに送る通告メールだった。



「  『閃光』に通告


 このメールは我が国から送っている。敵からの攻撃ではない。


 今回、我らの偉大なる研究者が重要なデータを入手することに成功した。さらに、支給品であるデバイスの強化にも成功した。順を追って説明する。


 1.生き残りの人数

 2.戦闘フィールド収縮

 3.デバイスの追加機能



 1. 現在、その島で生き残っている敵は48人だ。ほぼ半分くらい減ったぞ。今後も健闘を祈る。



 2. 島が徐々に海へ沈んでいることが判明した。おそらく数時間後には沈んでしまう……『デウス』は最後の生き残りのみ与えられる奇跡の魔法だ。この島が沈む前に何としても敵の抹殺を頼んだぞ。

 さらに海に触れると毒が身体を蝕むそうだ。絶対に触れるな。


 3. デバイスにマップ機能を追加した。残念ながら、君たちが立ち入った場所周辺しか表示できないが、島全体の大きさくらいは表示できるようにした。是非とも活用してくれ。

 さらに、支援物資を一度だけ届けることが可能になった。我が国の最強兵器と最強魔法を届けよう。しかし物資は敵から奪われる可能性や、位置が暴かれる可能性もある。くれぐれも使うタイミングに気をつけたまえ。



 以上で通告を終了する。


 今後も、新たな情報を入手次第に連絡を送る。


 汝の魔法で世界が救われんことを 」



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