1-⑤

 ピピピ ピピピ ピピ……


 旅の鞄に常時入れているアナログ式の目覚まし時計の音で起きる。時計の時刻は7:31朝食の時間までは少々時間があるので、スマートフォンのタイマーで二十五分にセットして二度寝に入る。そして、起きると時刻は7:55。タイマーの音より二分程早く起きたようだ。

 身支度を整えると、既に八時を過ぎていたようで、朝食を食べる為に部屋を出て、旅館内の食堂へと向かう。


「あ、おはようございます。」

 食堂に着き早々自分に挨拶をして来たのは、昨日のだった。自分は「おはようございます。」と返してテーブルに掛ける。

「あの、昨日山に登るって言ってましたよね?」

 突然に質問をされた。そう言えば、昨日の夜の会話を思い出すと、ぶつかった女性は山が好きだと言っていた。

「何処の山に登るんですか?」

「はい? あぁ、確か……日和山ひよりやまって言う山だったと思いますけど……」

「日和山ですか! 私も、日和山に登る予定だったんですよ! もしよかったら、一緒に登りません?」

「え? あぁ、はい。良いですけど」

 何故だか、少しばかりかが、それは気にしない事にするにしても、まさか、一人旅の最中に誰かと一緒に山に登るなんて思っても見なかった。

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