1-④
「今日昼間にぶつかった……人、ですよね?」
「あ! あの時の! 昼間は本当にすみませんでした」
「いえいえ、こちらこそすみませんでした。お怪我とかはありませんでしたか?」
昼間は落ちていたビニル袋を拾って直ぐに行ってしまったので良い印象とも悪い様な印象とも言えなかったが、思ったよりは良い人だ。そんな事を思いながらも落ちている写真を拾い目の前の女性に渡す。
「山、お好きなんですか?」
「え? あ、はい。山は写真を撮るのも登るのも好きです。」
「旅行客だったんですね。コンビニの弁当を持ってたからここの人かと思ってましたよ。あ、そうだ弁当だ、昼間は本当にすみませんでした。あの弁当ぐちゃぐちゃにしちゃって。」
「あ、いえ、あれは元々混ぜて食べるやつだったんで、大丈夫ですよ。手間が省けた見たいなものですからね。」
「あ、そうなんだ、ならよかった。あ、そうだ! 明日、僕も山登るんですよ。」
「へぇ、あなたも山好きなんですか?」
「いえ、僕は山と言うよりは雲です。空の雲。」
「え! 雲ですか? 珍しいですね。雲かぁ、特に意識して見た事無かったけど確かに山から見た雲は凄い綺麗でしたよ。」
「確かに、山から見た雲は凄い綺麗なんだろうなぁ」
そんな話しをしながらも、自分の泊まる7号室に着いた。
「あれ? あなたって何号室ですか?」
「私は、6号室ですけど、あなたは?」
「7号室です。まさか隣とは思ってませんでしたよ。」
「ふふふ、そうですね。ではおやすみなさい。明日、晴れるといいですね。」
「そうですねぇ。それでは、おやすみなさい。」
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