第161.5話小話

※以下の話は、思いついたのはいいものの本編にて使う機会逃した小ネタを幾つか出してみたやつです。なのでオチとかもそう無い。


※大体平成君出番多めなやつなので、如何に彼が日常パートでのネタ前振りポジか改めて認識しました(使うかどうか別にして)


※時系列はあまり深く考えず、そこそこ間がある本編のどこかと想像しつつお読みください。


※ノリとしては、漫画の単行本でたまにあるおまけ漫画やおまけ四コマ的なアレです。


※なのでややメタ的なネタもありますがご愛敬ということで一つ。





①うっかり余計な事言って痛い目見るポジになりつつある転移者君



「訊ねたいことがある節令使殿」


「どうしたモモ?」


「ヒラナリがたまに私の事を『脳筋蛮族』という類の言葉で評してるだろう?」


「あるな。お前絡みで嘆いてるときとか」


「蛮族からして悪口なのは分かるのだが、脳筋とはなんだ?少なくとも部族間ではあまり聞き慣れないのだが」


「あー、それはだなぁ……」



「ねーねーリュガー。なんかいつも以上に怖い顔したモモっちが顔面をお岩さんみたいに腫れ上がらせた平成太郎引き摺ってる姿見かけたんだけどー?」


「口走る心証は理解するが、思ったことをそのまま口走るのはよろしくないという例だな」


「はぁー?」





②理解ある部下くん(本人の主観)



「そう言えば前から思ってたんですけど、ターロンさんはいつリュガさんが転生者って知ったんです?なんかいつの間にか普通に知ってる体で僕らの中に入り込んでて忘れがちですけど」


「あぁそれか。坊ちゃんが異界からの転生者と知ったのは左程昔ではないな。マシロ嬢とクロエ嬢がレーワン家の客分になった頃、たまたま会話を耳にしてからだな」


「最近な上に偶然とは意外ですね。自分の仕えてる人が他所の世界の住人だったとかいきなりで驚いたんじゃ?」


「無論驚いたさ。だがすぐに納得したな坊ちゃんの日頃の言動視てれば。それに、転生者だろうが坊ちゃんは俺が幼少からお仕えしてる坊ちゃんには変わりないよ」


「はぁー、流石っすね」


「まぁしかしもう少し早めに知ってれば、とりあえず鍛錬をもっと遠慮なくやれただろうなと残念な気もある。やはり生粋の貴族のご子息には配慮は必要だからな」


「お前強制首斬り落とし体験で遠慮してたんならマジふざけてんじゃねぇぞだかんな?俺んとこ以外なら物理的に首飛んでるやつだからな?」


「いやぁそれほどでも。なんなら改めて配慮無し鍛錬やってみます?坊ちゃんなら出来ると信じておりますよ」


「うるせー馬鹿!!」





③2022年12月末現在の情報です



「リュガさんの知識スキルって、検索したら答え出てくる的な感じなんですよね?」


「もう少しあるぞ。例えばこの世界に居ながら現代地球各地のリアルタイム情報を得られたりする。此処で如何程役に立てるか知らんがな」


「転移者側からしたら元居たとこの情報リアルタイムで得られるの地味に羨ましいですけど……じゃあ例えば今何か出せます?」


「そうだなぁ……ロシアはまだウクライナ攻め落とせてないな。21世紀なのにあちらさんは19世紀末か20世紀初頭みてーなやり口で自業自得の苦戦してらぁ」


「いやその、世界情勢的なの言われても僕みたいなの反応に困りますんで」


「じゃあ日本限定にするか。えーと、W杯ベスト16にまで食い込んだのに日本惜しかったな」


「えっそこまで行けたんっすね。すげーや」


「更に限定してみるか。あー、そうだなぁ。あっちの冬は日本海側が記録的大雪でクリスマス大変だそうだ」


「こんな事言うと地元の人に怒られそうですけど、なんか毎年記録更新だの騒がれててボジョレーの宣伝文句みたいにしか思えないっす」


「だなぁ。更に限定すると某県某市で……」


「更にって地域レベルまで把握とか、それこそこの世界で役に立たないんじゃ」


「言うなよ。俺だってスキル貰った時そこまでイケるとか思わなかったんだしよ。ちなみに町単位の出来事まではイケたわ。村は流石に無理だった」


「なんだかんだ言ってもちゃんとスキル確認はするんですね」


「こういうのは把握しておかないと後々ツッコミ受けるからな」


「どこから受けるんですか」





④異世界ファンタジー甘味事情



「前から不思議だったんですけど、この世界ってか、少なくともリュガさんとこは甘い食べ物意外に口にする機会ありますよね?」


「そうだな。剣と魔法のファンタジー世界とはいえ、文明水準中世ぐらいと考えたら菓子の類がそこそこ流通してるのは驚くよな」


「砂糖とかって現代より貴重なぐらいは僕でも分かりますよ。でもこうしてお茶の時にお菓子出てくるし、それもやや値段高いとはいえその辺の店で買えるし、リュガさんの店でもオリジナル商品にありますよね」


「理由はある。サトウキビの類以外でも大量に甘味の材料得られる方法あるんだ。まぁ勿論代替え品みてーなもんだから質の良い砂糖は貴重な食材に違いないがな」


「へー。で、なんすかその替えのやつって。なんでしたってけ、サトウキビ以外の植物とかでも絞ったら甘い汁出るとかなあれ系ですか?」


「それも無い訳ではないが、ウチの世界だと一部地域だな。基本は魔物だぞ」


「魔物」


「魔物の中には体液や臓器の一部に濃いめの糖分含んだ汁袋詰めてるやつとかいてな、それを解体した後加工してるんだ」


「解体」


「ちなみに多く採れるのはアリとか昆虫系の魔物でなぁ」


「……」



「リュガー。なんか最近平成太郎を茶誘ってもお菓子食べないんだけどー?なんかあったー?」


「アイツ変なとこで繊細つーか、いい加減人間以外のグロ要素は慣れろよ」


「なんか知らないけどさー、多分普通の人間に対して無茶言ってるのだけはわかるわー」





⑤異世界人権事情の一端



「あー、火薬量産してーな」


「いきなり物騒な事言うけど-、ついに仕事のストレスで壊れたー?」


「くくく、クライシスな邪悪な衝動。破滅への輪舞は硝煙の匂い」


「なわけあるか!消費してからコツコツ作ってようやく消費分半分補充出来たんだよ。作れてるだけマシとはいえ、今後考えると硝石の鉱脈都合よく見つからないもんかねと悩む」


「都合よくは見つからないもんですね。魔法とかでパパっと作ったり探したり出来そうなイメージありますけど」


「魔法も万能じゃないってことだ。まぁ土中の有機物多く含んだ雨の降らない乾燥地帯でないと大量に採取出来ないからな。ヴァイトで探すとなると見つかる可能性半々なだけマシとはいえ」


「探して見つける手間と作る手間を比べると今のとこどっちもどっちそうですな」


「そもそも乾燥地帯あったとしても探す者と護衛する者だけでも数が必要なのだろう?今は難しいのでは?」


「洞窟もなぁ。単なる洞穴探すのですら魔物排除しなきゃいかんから、少量でも手堅く得られるのは一から作るやつになる」


「衛生事業の一環で州都や近辺の町や村のトイレや家畜小屋の糞尿置き場漁らせてたわねー。結果は半分補充ってショボいけどさー」


「州各地にも集めるよう布告してるとはいえ、こうなれば別のやり方も視野にいれるべきか」


「方法あるんですか?じゃあそれやればいいのに」


「必要なモノがちょっとな」


「何が必要なのだ節令使殿?」


「死体だな」


「死体」


「うん。こう、どこぞに乾燥した土地に穴倉作って、そこに死体と糞尿投げ込んで二、三年待てばそこそこの量の硝石手に入るってわけだ」


「いや幾ら何でも駄目でしょう」


「駄目かやはり」


「そうですよ坊ちゃん。そんな死体どこで手に入れるんですかこんな人がまだ少ない土地で。余程でない限り罪人でも死罪より使い潰す方で考えないと」


「そっちの意味での駄目じゃないですよターロンさん!?」


「節令使殿。それに放置してる間に魔物が食べにくる恐れもあるぞ。アイツラは基本的に多少糞尿塗れでも気にせず喰らう悪食だぞ。治安的にもよろしくないのでは」


「モモさんまで!?違うそうじゃなくて」


「あー、やはりやるのはもう少し人口増やしてからかー。鉱脈発見が先か硝石穴倉作れる余裕出るぐらい人増えるのが先か分からんなこれ。あー、面倒だー」


「いやリュガさんそういう問題!?やる事事態は前向き!?」


「アンタが居る世界はそういうとこなのよー。人の命も軽いのに人権配慮なんて更に軽いわよー?」


「くくく、無情無法なスローなワールド。尊厳守護するは汝の力によってのみ」


「えぇ……」



※なお、硝石関係には上記以外にも方法あるので、ここでは極端な一例のみ扱ってます。

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