第4話 立ち塞がる三冠馬

 そして、迎えた2005年の有馬記念。前年の有馬記念を制したゼンノロブロイ、永く芝の中長距離路線を沸かせてきた古豪タップダンスシチーの二頭は全盛期の力を失ってこのレースでの引退が決まっており、注目は当年の三冠馬でありここまで無敗を貫くディープインパクトに集中していた。

 ディープインパクトはクラシック三冠の最終戦である菊花賞を制したあと、ジャパンカップを自重して有馬記念に目標を定めており、ここを勝って来年は仏凱旋門賞など海外遠征を敢行するのであろう、というのが大方の見方だった。

 対するハーツクライは、ジャパンカップで世界レコードに迫る激闘を見せたとはいえ、この時点では一介の重賞勝馬に過ぎず、本格化を迎えたとはいえ、無敗のディープインパクトの牙城を崩すには一味足りない……、というのが戦前の過不足ない一般的な評価ということになるだろうか?

 多少高めにハーツクライを評価していた人がいたとしても、よもやハーツクライが正攻法でディープインパクトを抑えて勝つと言うところまでは想像が及ばなかったに違いない。

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