処分の仕方


 ヴァラヴォルフ族の二人は手荒い……

 あっという間に乗り込んで、あっという間に『処分』した……

 何事もなく、タナトス・シティ逢魔街はにぎわっている……

 アンネリーゼが主導し、手荒く『処分』、ジャンヌの『赤いソード』が全てを切り刻んだ、何も残らぬように……


「あっという間ね……さすがにヴァラヴォルフ族……情けは持ち合わせていないようね……」

「あちらは馬鹿ガキどもが、後先考えず騒いだだけ……簡単でしょう」


「そうよね……我らと戦える力を持つヴァラヴォルフ族、そこに寵妃の力が加わればね、しかしこちらは厄介ですね」


「我らで何とかいたしましょうか?」

「何とか出来るの?」

「命ぜられれば……」


「相手はラミア支族でしょう、いくら弱小支族といっても、ブラッド・メアリーだけでは難しいでしょう……」

「それにポーリーンはラミアの出でしょう、彼女知っているの?」


 ブラッド・メアリーの隊員、ポーリーンはラミア族長の一族……

「ブラッド・メアリーの仲間には何も言っていません、このゾーイ一人で、ラミア支族を何とかいたしましょう……」


 ラミア支族とは、ヴァンパイア六支族の内の一つで、ブルガリアあたりに居住していた集団、殲滅された主流派のレムレース支族に従属していた。


 所属する人数も少ないといえど、三千名はいると思われる……

 それを一人で相手するつもりのゾーイ、もともと力はずば抜けているうえに、チョーカーの魔力が後押しするといえど……


「私が手伝います、こう見えても名誉夫人待遇女史ですからね、このブレスレットは貴女のチョーカーと同じぐらいの力はあります」


 ベルタ・ドンはさすがに総族長の妻、その力はゾーイを遙かに凌駕する、そこへ名誉付といえど、『夫人』の魔力が重なる。


 ベルタ・ドンは、ゾーイと二人だけで対処することに決めた。

「ラミア支族は、上位の者に盲目的に従う、今回の事はラミアの指導部の考えと思うわ……違っていてもそうあるべき……でしょう?」

「その通りと考えます」


「ゾーイ、貴女、一人でどうするつもりだったの?」

「蛇も頭を切り飛ばせば動くことはできません、先ほどベルタ様かおっしゃったとおり、ラミア支族の族長を『処分』いたします」

「でしょうね……」

 何か考え事をしているベルタ・ドン。


「いけませんか?」

「後を考えるとね……といっても、ラミアの指導部は聞く耳を持っていないのでしょう?」

「説得などは弱者の行い、ヴァンパイアの常ではありませんか、力を示すしかないかと思いますが」


「……」


「仕方ない……堂々と公開で、族長を始末しますか」


 ?


「いま総族長は不在……久しぶりに総族長を、『鮮血推戴』で決めましょう」

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