シュノンソー城


 ナーキッド・オーナーの、ミコという女に背後から責められ、最初は苦痛に唇をかみ締めていたのですが、しまいには遠吠えのような声をあげさせられたジャンヌとアンネリーゼでした。


「二人ともやはり後ろからがいいみたいですね」

 と、ミコに言われ、羞恥に真っ赤な顔をした二人です。

 とにかく二人とも側女の位をもらい、チョーカーを首につけもらいました。


「とりあえず、住むところがいるわよね……」

 ミコの言葉でアンネリーゼはドイツ、バイエルンにあるファルケンシュタイン城、ジャンヌはフランス、ロワールにある古城、シュノンソー城に、それぞれの任務の為に赴任することになりました。


 ジャンヌが赴任すると、城には二三人の清女さんがいるばかり……

 専属の方は、リュシエンヌ・バレさんといい、まだ十七八ぐらいの可愛い娘さんです。


 赴任して二三日は、ゆっくりとロワール観光などをしたジャンヌ、リュシエンヌさんがあちこちと案内してくれました。


 そうこうしていると、イギリス方面に人が必要になり、このシュノンソー城の人員が引き抜かれることに……

 結局はリュシエンヌさんと、ジャンヌの二人だけとなってしまいました。


 二人で日常をどうするかを話し合いました。

 お料理を除いた、掃除洗濯などはリュシエンヌさんがしてくれることになりましたが、二人ともお料理はお話になりません。


「料理人を雇おうかしら……」

 と、ジャンヌが言いますと、リュシエンヌさんが、

「部外者は認められないと思いますが……」

 と、いいました。


「いままではどうしていたの?」

「皆で町のビストロに食べに行っていました……一応、それぐらいの経費はありますので……」

「毎日?」


「いえ……このお城には膨大な備蓄食料があります」

「すべて非常用で、私たちが食べてもいいことになっています、週の半ばはそれを食べています」


「それっておいしいの?ファーストフードでしょう?」

「おいしいと思っていますが……ジャンヌ様のお口に合うかどうか……」


 案外にジャンヌはお気に召したようで、ものめずらしいのか、ジャンヌが備蓄食料を料理することになりました。

 一応温めればいいものがほとんどですから。


 そして触発されたのか、ビストロへウェイトレスのバイトを……

 安い給料ですが、代わりに料理を教えてもらっています。


「ジャンヌさま、すこしうまくなったのでは?」

 ジャンヌに慣れたのか、このごろはため口などたたくリュシエンヌ。


「一応、私、ミコ様の女なのですが?ミコ様の為に食べられるものぐらい作れなくてはね」

「リュシエンヌはどうなの?人の妻にはならないの?なにを思っているのか、大体は判りますが」


 ジャンヌは、リュシエンヌが何を思っているのか、近頃は知っているのです。


 ミコ様の女、自分のようになりたいと……


「ねぇ、リュシエンヌ、ミコ様ってエッチよ、うまく誘えば貴女の望みもかなうと思うわ」

「そうでしょうか……私……処女でもないし……」


「その話は聞いています、でもミコ様がお助けくださったのでしょう?」

「ミコ様はね、私のような狼女でも、吸血鬼の女でも平然と抱かれているのよ」

「貴女は綺麗よ、抱かれる資格があるわ、こんな私でよければ、色々教えてあげるわ」


「ありがとうございます……その……ミコ様はエッチって、いまお聞きしましたが……その……具体的には……」


「『お腰の物』って知っている?そう、しらない……『お腰の物』って、つまりは殿方の『あれ』の形をしたもの、それを腰に付けて……エッチを知っている体なら……たまらないのよ……」


 かなり詳しく説明するジャンヌ、お淑やかな深窓の麗人はどこへやら、夜の姫君の色っぽさですかね。

 でもこの後、リュシエンヌはかなり悶々とした一日を送る羽目になったようです。


 翌日、睡眠不足のリュシエンヌは昼過ぎまで寝ていましたね。

 遅い昼食を二人で町のビストロまで食べに行きました。


「今日はいいでしょう?」

 と、二人とも誰に言い訳するわけでもなく独り言をいい、自ら納得しています。


 ジャンヌが、

「良く寝たし、良く食べたわね……帰ったら……」

 などと言いますと、リュシエンヌが、

「何をされるのですか?」

 と、聞きますね。


 当然のようにジャンヌが、「寝ましょうね」などと言っています。

 そろそろ、陽も傾き始めた午後の四時……事件が起こります。

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