憧れの女を見つけた


 小笠原号は停止しています。

 水平線に陽が沈みつつあります、綺麗なサンセットです。

 しばらくすると、爆音が聞こえ、US―3不死鳥と呼ばれる飛行艇が飛んできました。


 飛行艇ですから、着水するかと思いましたが、何と垂直離着陸飛行艇らしく、狭いヘリポートの上にホバリングしています。

 船長と、花束を持った二つの高女の代表生徒が並んでいます。


 三人の女が、サンセットを背に身軽に降り立ちます。

 US―3不死鳥はすぐに飛び立っていきました。


「ミコ様、ようこそ小笠原号へ、心から歓迎いたします」

 と、船長がかなり緊張しながらいいますと、中の一人が、

「突然押しかけまして申し訳ありません、小笠原号を祝福いたします」

 と、優雅にいいました。


 琴音さんは舞い上がっていましたが、なんとか、

「ルシファー様、パーティーにご招待下さりありがとうございます」

 と、言えました。

 隣の小笠原高女の生徒に、少し笑われましたけどね……

 ルシファー様の隣に立っていた、二人の女に挨拶するのを忘れたのです。


 小笠原高女の生徒が、

「ミコ様、上杉忍様、アンネリーゼ・フリードリヒ・フェルディナント様、この度はパーティーにご招待下さり、ありがとうございました」

 と、完璧に挨拶します。


「ご丁寧に、ありがとう」

 と、返事をいただいています。


 琴音さん、部屋に帰ってくると、鈴姫の部屋に……

「鈴ちゃん……私……間違ってしまった……どうしよう……」

 と、半分泣きべそです。


「大丈夫よ、そのぐらい……ルシファー様は気にされないわよ、元気を出しなさい、いつもの琴ちゃんらしく、ね」

 ここですぐに立ち直れるのが、琴音さんのいいところです。


「ルシファー様、どんな方だった?」

「そういえば、お顔を見ていないわ……私ってダメね」

 と、ケラケラ笑います。


 そして船上パーティー……

 鈴姫は、そこに憧れの女を見つけたのです……

 そして決めたのです。

 何としても任官して、寵愛を受けるのだと……


 以来、鈴姫は全てにおいて、優秀さを見せつけるようになりました……

 特に夜の特別授業などは……


 そして八回生の有る時、指名されて、ヴィーナス様の休暇に侍女として、お供するという破格の名誉を手にすることになったのです。

 卒業後、望み通り寵妃になりました。


 琴音さん?琴音さんは卒業後、あっさりと任官拒否、イケメンの実業家の妻に収まっています……

 幸せそうですが、ご主人は見事にお尻にひかれているようです。


 篠笛ちゃんは高女課程のメイド任官課程に進学、どうやら任官しそうな勢いですね。


    FIN



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