ウルトラ級の爆弾発言


「すごい、真っ白な船ね……綺麗……」

 籠目(かごめ)高女の女学生は、はしゃいでいます。


 小笠原高女は先に乗船していました。

 部屋割りも済ませ、のんびりとラウンジでお茶など飲んでいます。

 こちらは上品なものです……


「ねぇねぇ、船首へ行きませんか!」

 とか、騒々しいのは、ほとんど籠目(かごめ)の女学生、先生は下を向いてしまいます。


 船は小笠原号というらしいのですが、名前通り、和風の雰囲気が漂っています。

 何でもカムチャッカ号は、ロシアの雰囲気とか……


 小笠原号は、カムチャッカを目指して出航します。

 鈴姫は大海原を、ラウンジから眺めながら、思わず感傷に浸ってしまいます。


 帰ってきたのね……生まれ故郷に……

 紅茶を口に運びながら、鈴姫は海原を飽きることなく眺めているばかり……


 優しいけど激しい海……広いけど、何物も許さない海……

 ……あの方に似ている……誰だったのかしら……面影が脳裏にこびりついている……


 鈴姫は、あの時の若い女の面影が忘れられなくて、何かあれば思い出してしまう……そして胸が苦しくなるようです……

「鈴ちゃん、恋煩いでしょう」


 突然の声に、驚いて振り返ると、琴音さんが立っていました。


「……そうね……」

 真っ赤になった鈴姫。


「私も……忘れられないの……」

「琴ちゃんも?」


「困ったことに篠笛も……」


 なんか仲間が出来たようで、鈴姫は嬉しいような……


「私……あの方に命じられたのが……なぜか逆らえなくて……それがうれしかったような……」

 と、鈴姫が云えば、

「私、何としても、あの方に買ってもらえればと思うの……」

 琴音さんが爆弾発言を……


「私も……恥ずかしけど……その……はしたない事が……私、おかしいのかしら……」

 鈴姫がそのように受けると、琴音さんがさらに大きな爆弾を爆発させます。

「分かるわ……私も大事な所が……寮に帰って……消灯後は……ベッドで一人……一時間もしてしまった……」


 つられて鈴姫も、

「私も……大事な所が……我慢できなくて……夕食まで……メイド任官課程の女って、ルシファー様の女になる事なのだけど……これでは……メイドになれそうもないわ……私……淫乱なのね……」

 鈴姫の、ウルトラ級の爆弾発言ではありました。


 その時、船内のスピーカーから、

「ご乗船の皆さま、本船にミコ様がご乗船されます」

「少しの時間、停船いたしますので、ご了承ください」


「それから、ご乗船の小笠原高女と籠目(かごめ)高女の生徒の方々と、親しくしたいとのミコ様のご希望で、パーティーが催されることになりましたので、両校の生徒さんは参加されますように」


 それからは大騒動、急遽、シャワーを浴びさせられ、制服に着替えさせられ、身だしなみを念入りにチェックされて、こまごまとした注意を受け、とにかく各自の客室に待機となりました。


 ミコ様を出迎えるために、学校代表生徒として、一人ずつ船上に待つことになり、琴音が籠目(かごめ)高女の代表に指名されます。


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