火曜日
虹色は翅だけでなく、その行動も他のメスたちと一線を画していた。
黒蝶のメスは羽化すると、すぐにオスの求愛を受けて交尾する。しばらくして産卵したのち、成虫としてのおよそ二週間に満たない生涯を閉じる。
ごく短期間で交尾と産卵を行わなければならない宿命から、メスは体力を温存するため普段はほとんど動かない。
が、彼女は対照的だった。
ほぼ一日、さかんに花畑を飛び回る。
そして交尾相手を探すオスのように、自分から他の蝶たちを追いかけ求愛しているのである。
昆虫を含め、地球上に生息する多くの生き物の中でも、メスから求愛行動を見せるものは、人間以外にほとんど存在しない。
これも一種の突然変異なのだろうか。
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