蝶
安納にむ
月曜日
奇跡のような蝶だった。
私が見つけたのは、今朝羽化したばかりのアゲハチョウ科の仲間である。アブラナの花畑でよく見られ、成虫は普通、黒い
だが、この蝶は違う。
一見すれば、その翅は鉄のような光沢を放つ銀色に近い。ところがよく見ると、光の角度によって映る色は淡い黄、橙、青、紺と目まぐるしく変わり、それらと翅の先の尾状突起の朱が鮮やかなコントラストをつくる。
翅を広げて飛ぶ姿は、まるで宙に小さな虹をかけているかのようだ。
新種かと思ったが、身体の形を他と比較すると、どうやら同じ日に羽化した黒い蝶のメスらしい。
趣味で蝶の観察を始めて数年になるが、同じ種類でここまで翅の色が異なるものは初めてだ。
私はこのメスを、翅の色から"虹色"と名づけた。
明日以降もここに通い、彼女の生態を記録することにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます