ハトのことしか書いてない小説。なんじゃこりゃ。でも面白いです。
「俺」の葛藤を残酷なまでにリアルに描き出した社会派作品。勢いで書いたかのような、その実、よく練られていることが伺える。君に幸あれ。ハトにエンドウ豆あれ。
主人公のハトに対する愛を綴ったコメディ。数話読み進めた時に、ふと思ったのです。「オチはどうなるのだろう? オレのハト愛はこれからだ! は、投げ出してるような」まさか、お爺さんが登場してから予想だにしない方向へ物語がすすむなんて、思ってもみませんでした。作中の「こんなの本当のハトぽっぽタイムじゃない。」「喉からピジョンミルク!!」(台無しだよ!)に笑いました。
まずハトぽっぽタイムとは何ぞや。究極の癒やしです。自然との融和、世界とハトと自分を融合させ一体感を得られるトリップ状態のようなもの。これは主人公の成長譚です。邪魔されようともめげずに立ち向かい、衝撃の事実を知り絶望の淵に立たされ、それでも再び立ち上がる、そんなお話。読みやすい文章でサクサク読み進められますし、軽快なやり取りはどこかシュールで主人公の心情も面白いです。公園でハトに餌やりする人を見る目が変わるかも。