プロローグ

『その方が魂の回収が手っ取り早くすんで、楽だったのじゃっ!』


それが見た目幼女な女神様の言い分だった。


楽って…。


そんな理由で、人をひき殺さないミートソースにしないで欲しい。


俺がそう言うと、女神様は——


「んむぅ〜っ!」


「〝ズギューーンッ‼︎〟⇒ ぐふぅっ‼︎」


ぷく〜っと頬を膨らませ、お冠おかんむりなご様子になる幼女神ようじょしん様。


か、可愛かわわっ‼︎


い、いや、いかん…。


そうじゃない、ほだされるな。


「クッ…あのですね、〝手間暇惜しんで良いモノ造れず〟と言いましてですね…」


うん、違う。


そう言う問題では無い。


「じゃって…妾、楽したかったんじゃもん」


上目遣いで、少し拗ねたような感じでそんな事をおっしゃる幼女神様。


可愛い。


プイっと下をむき、石ころなんか蹴りはじめちゃう女神様。


超可愛い。


石ころには『田中 哉太(享年36歳)』という文字が…。


あ、自分 田中たなか 哉太かなたっていいます。


36歳で死にました。


あの、幼女神様さま…。


その石ころって、もしかして俺ですか?


あ、ハイ。


やっぱり俺ですか。


ハハハハハ—— って、惚れてまうやろがあああああっ‼︎


「じゃぁ、しょうがないですね」


うむ、まったくもってしょうがない。


ふぅ、やれやれだぜ。


「うむ、そうじゃろう—— ずげしっ!ずげしっ!この、田中めっ!石っころの田中めっ‼︎」


「っ!」


げしげし、げしげしと『田中 哉太(享年36歳)』という文字が書かれた石ころを何度も何度も踏んづける幼女神様。


ふぅっ…‼︎


まったく…。


可愛すぎるぜぇ‼︎


そんな風にされたら俺—— もう、何も言えないよおおおっ‼︎




はぁはぁ…。


どうやら俺は、少しおかしくなっていたようだ…。


きっと事故のせいだ。


おちつけ、俺。


Let's be cool.—— 冷静になろうぜ。


「もうこの際、ミートソースされたその件はよしとしてでもですね。酔った勢いで願った〝願望〟を…。その、叶えられてもですねぇ…」


チラリ。


視線を上に、天を仰ぐ。


そこには、新たに〝俺の肉体カラダ〟となると幼女神様に言われた—— 控えめに言って『トンデモねぇ美少女が現れやがったあああっ‼︎』な〝美少女の肉体カラダ〟がプカプカと宙に浮いている。


ちなみに全裸である。


光は差してこない。


見放題である。


ヒャッハァッ‼︎


「…………」(ガン見)


ハッキリと言おう。


めちゃくちゃ好みだ。


好きか大好きかで言えば—— 超好きだ。


結婚したい。


駄菓子菓子だが、しかしである。


「む、なんじゃ不満か?」


「えぇ…まぁ、その…」


アレは俺の〝肉体モノになる〟美少女なのである。


なんでやねん。


何が悲しくて自分好みの美少女に、自分がならなければならないのだろうか…。


誰が『俺を俺好みな美少女にして下さいっ‼︎』などと頼むいうのだろ—— ピッ‼︎


『もういっそ殺せっ‼︎俺を殺してくれっ‼︎そんで、アイドルも裸足で逃げ出すくらい激マブ可愛かわわっな、美少女に俺を生まれ変わらせてくれっ‼︎そしたら、俺を馬鹿にしてくれた女どもの幸せ全部。俺が奪い尽くしてみせるからよおおおっ‼︎』


………。


『うぅ、頼むよぉ…神様ぁ、女神様ぁ…なんでもするからさぁ〜』


おうっふぅ。


「おぬしが願った事なのじゃ」


「いえ、まぁ、そ—— ピッ‼︎


『黒髪のぉ…美少女でぇ—— あ、目はオッドアイで背丈はちっこく。んで、そのわりにはオッパイがおっきいとかだったら最高だなっ‼︎トランジスターグラマー、ロリ巨乳ってやつ‼︎』


………。


美少女な肉体を見る。


黒髪でオッドアイだ。


そして背がちっこくて、そのわりにはオッパイがおおきい。


願ったとおりの美少女がそこにいた。


「おぬしが願った事なのじゃ」


「ハイぃ…」


酔ってたんや…。


めちゃくちゃ酒に、酔ってたんやぁっ…‼︎


酔ってた理由は—— いや、よそう。


「なら文句はあるまい」


う、うぅ…。


自分に非は無いと言えないので、これ以上何も言えない…。


「それともまだ他に不満でもあるのかの?」


「そ、その…」


な、なかった事にぃ…。


「無理じゃ」


無理ならせめて肉体を男にぃ…。


「嫌じゃ」


そ、そこをなんとかぁ〜…。


「オモシロクなくなるから嫌じゃあああっ‼︎」


オモっ⁉︎


え…。


そんな理由で断られんの…?


な、ならせめて——


「ならいっそ、もっと可愛くっ‼︎〝美の女神も羨むほどの美少女〟ってくらいに美少女に…。俺を、して下さいいいいっ‼︎」


これならどうよおおおっ⁉︎


「うむ、それならば構わぬのじゃ」


良いのかよっ‼︎


え、マジで…?

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