第123話 女としての成長

 深谷朋子先生から、女の磨き方についてを教えてもらう。髪型からファッション、メイクの仕方を習った。


 俺は、体重を落とすようにダイエットをしながら綺麗な素肌を手に入れるために、バランスの良い食事や運動、十分な睡眠をとって生活の質の良さも高めていく。




 俺は2人に、魔力の扱い方について教えることにした。魔力の存在は隠しながら、それらしい説明で体の奥底から溢れ出る力の制御方法を教える。これは、俺の知っている美容に関する特別な知識であると。


「こう、かな?」

「そうそう。ちゃんと出来てるよ」


 カレンが不安そうに聞いてくるので、俺は力強く頷いて答えた。彼女はバッチリ、体の中にある力を感じ取れている様子。


「瞑想なんて、眉唾ものだと思っていたけれど。分かっている人に習えば、ちゃんと何かを感じ取れるのね」

「俺のこれは独学だから。ちゃんとした方法かどうかは、わからないけどね」

「だけど、効果を実感できる。とても有用だと思うわよ」


 朋子には、瞑想みたいなものだと説明して魔力の扱い方を教えていた。


 最初は不審そうな表情を浮かべていた。けれど、魔力を感じられるようになったら信じてくれた。彼女本人は、それが魔力だとは気付いていないだろうけど。


 床の上に座ってリラックスする。両目を閉じながら呼吸を整えて、体の奥に感じる感覚に注意を向けるように言う。カレンと朋子の補助をして、魔力を感じ取れるようにすると2人は、しっかりと体の中にある魔力の感覚を掴んでくれたようだ。


 この世界の人は誰でも体の奥底に魔力を持っていた。カレンと朋子も魔力を持っていたので、それの扱い方を2人に伝授する。


 魔力を扱うことが出来るようになれば、身体能力を強化することが出来るように。それだけでなく魔力の操作を覚えて体に魔力を纏っておけば、体の成長を促進したり老化を抑える効果もある。覚えておくことで、大きなメリットがあった。


 これから、女を磨くためにも覚えておいたほうが良いと思って明かした。


 とりあえず、魔力の扱い方は教えた。その次にある魔力付与や、魔法を発動させる方法について教えるかどうかは保留。いつか教えるかもしれないけれど、今は止めておくことに。




 女として美しくなるための活動を始めると、すぐに俺は体重が落ちていくと同時に身長も一気に伸びた。手脚がすらっと長くなっていた。もう、その見た目ではデブと言われないような体型に変化した。


 カレンも可愛さに磨きがかかり、さらに綺麗な顔つきになり、フワッとした髪型、抜群のファッションセンスが合わさって、街でも評判になるほどの女の子に成長していた。


 テレビに出ているような美人女優も顔負けのルックスを、カレンは手に入れた。




 外見はバッチリ。しかし俺たちは、それだけでは止まらなかった。見た目だけではなく、内面も気合を入れて磨いていく。


 普段から、あまり自信なさげのカレンをポジティブな思考に変化させる。ここまで成長をしてきたから、これから先も楽しくワクワクしながら続けられる方法を2人で考えた。


 話し合った結果、自分たちだけで綺麗になれた知識を独占するのではなくて、他の女子たちも巻き込んでいこうよ、という結論に至った。美容に興味を持っていそうな友達やクラスメートの女子を誘って、一緒に女磨きをする仲間を増やしていく。


 集まりに誘った彼女たち全員が、参加してくれた。というか最近、すごく変化していく俺たち2人の様子に、女子たちは興味津々だったよう。


 もっと早く、誘ってあげればよかったかな。




 どんどん増えていく参加者たち。学校が終わって放課後になると、みんなで毎日のように集まった。今度は俺とカレンが美しくなる方法を教える先生となり、集まった彼女たちを指導していく。


 カレンは先生となって、人にものを教えられる優しさと自信を持つようになった。彼女の内面も、美しく成長していく。


 切磋琢磨する仲間が増えて、和気あいあいとしながらも競い合う。みんなで美容に関する情報を持ち寄って、試してみたりする。美しくなるために努力した。


 引き続き、美容のプロである深谷朋子先生にも教えてもらいながら、みんなで女を磨いていった。


「どうぞ、召し上がれ」

「わぁ! レイラさんの手料理だ」

「今日も美味しそう」

「これ食べちゃうと、太っちゃうのよね」

「その分、運動しようよ」

「そうそう。食べた分、頑張って動けば問題なし!」


 皆が女磨きに集まると、俺は集まった娘たちに料理を振る舞った。料理する機会を増やして、料理の腕も磨こうと思って彼女たちに協力してもらう。


 集まるたびに違う料理を提供して、おやつなんかも用意した。美味しそうに食べてくれる彼女たち。父親が作ってくれたり、自分で作る料理を食べるのもいいけれど、誰かに食べてもらって美味しいと言ってくれるのを聞く喜びは、また格別だった。


 参加者の中には、俺の手料理を目当てに参加する娘もいるとか。とても嬉しい。




 料理に使う食材は、父親の啓吾から自由に使っていいという許可をもらっている。


「レイラには小さい頃から、店の手伝いをしてくれて助けられてきたからな。食材を買う金を出しても、お釣りが出る。どんどん好きなように使っていいからな。友達に自慢の料理を振る舞ってあげろ」


 そう言って食材を自由に使う許可を出してくれた。レシピのアイデアをくれたり、調理の方法を教えてくれたり、他にも色々と父親の啓吾は応援してくれた。




 せっかくなので、頭脳も鍛えようと皆に提案する。可愛くて優しくて、頭も良い。そんな、完璧な女性を追求して自分を鍛えていく。


 勉強会をした。その日の学校で習ったことを復習して、予習もする。つまずいて、分からない娘がいれば優しく教える。みんなで一緒に並んで勉強。そんな習慣を身につけていった。


 勉強会の結果も、すぐに出た。順調に、皆の学校での成績も上がっていった。


 この女子たちの集まりは、大成功である。


 子どもたちが協力して鍛え合い、成長していく。その様子を見れた俺は、嬉しい。人が努力して成長していく姿を見るのは、やっぱり良いなぁと、しみじみ思う。


 イジメがあって暗くなりそうだった小学校時代、俺は彼女たちと一緒に過ごして、とても有意義で楽しい時間を送ることが出来たのだった。

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