窓
よる
No.1
誰もいない一人のこの時間。
僕はこの瞬間に沢山の何かを失っている気がして、とても苦しくなる。
例えば、さっきまで隣にいたはずの貴方とか、僕が八つ当たりしてしまった友達とか、家を出ていった猫とか。
僕はどうしてこうなんだろうな。
窓から相手の行き先を眺めているだけで、手を伸ばそうとしない。
ああ、またやっちゃったって思うだけ。
どれも大切なはずなんだ。
大好きだったから、ずっとそばにいたんだ。それだけじゃ伝わらないのかな。
貴方が泣いて僕の家から出ていった。
友達が呆れて僕の家から出ていった。
猫が寂しそうに僕の家から出ていった。
僕が彼らを大切に思ってるから、ずっと近くにいて、笑わなくたって楽しくて、
喋らなくたって心地よくて、全部気持ちが伝わっているような気がしていた。
そんなことなかった。
僕が勝手に思い込んで、伝えることをおざなりにしたから、彼らは出て行ってしまった。
じゃあ無理してでも笑って泣いて怒っていればよかったのか?
それは僕じゃない。
言えばよかったのか?
そうだよ。
馬鹿だなあ。こんなに寂しいなんて。全部全部手放したのは僕なのに。
窓から眺めているだけで、出ていく彼らを見てどうしようもないとあきらめたのは僕なのにさ。
でも、
窓 よる @September_star
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