第八話 雪深きを往く

前回のあらすじ


二日酔いの紙月は、未来に匂いを嗅げと強要して……!?






 ともすれば、というより、早々に足跡を見失ってしまった紙月と未来であったが、案内人であるウールソの足取りには全く迷いがなかった。

 まだ登りきらぬ朝日の薄明の中では何もかもがあやふやで、ものの距離さえもが曖昧にぼやけてしまいそうだというのに、この武僧はためらいなく進んでいく。

 これが熟練の冒険屋というものかと二人が感心していると、ウールソはしたり顔でひげをしごいた。


「いやまあ、二の村までの道はならされておるようですからなあ」

「あ」


 道理で歩きやすいはずである。

 よくよく見れば、荷車くらいは問題なく通行できるような幅で、しっかりと新雪はのけられ、また踏み固められることで、雪歩きに不慣れな二人も何とか歩けるような道になっていた。

 この道から外れようとすれば、大きく雪に跡を残すだろうし、すくなくともそういう痕跡がみられるまでは、このまま道なりに進んでいったとみていいはずである。

 ばふぅ、と後ろからついてくるタマが、ため息をついたような気がした。


 均された道を、それでもざくざくと足跡を残しながら進んでいくうちに、やがて二の村が見えてきた。

 はっきりここからですよ、という区切りがあるわけではなく、ぽつりぽつりと家が見え始め、それに応じて枝道も増えていく。


 二の村は、村の医者でもあるナガーソがまとめ役をしている村だ。

 一の村より傾斜が強く、小刻みの段々畑が雪の下に横たわっているはずである。その傾斜を、冬も凍ることなく流れていく川には水車もあり、粉ひき小屋もある。

 おそらくは雪が解ければ、田畑の姿もここに浮かび上がってくるのだろうが、いまはただただ茫漠ぼうばくたる白海に、孤島のようにまばらに屋根が見えるばかりである。


 冬場は燃料の節約などのために、村人はみな一の村に降りて過ごすということだったが、意外にもこんな朝早くからちらほらと村人の姿が見える。


「農村の朝などはまあ早いものですな。冬場は特に日が短くなり申すから、ずいぶんな早起きに見えますかな」

「昼過ぎまで寝てる紙月は見習わないとだね」

「たまにだろ、たまに」


 村人が早起きして、わざわざ何をしに来ているかというと、もちろん仕事に来ているのである。


「家は生き物と申しますように、人の手が離れるとすぐに悪くなっていくものでしてな。特に雪が積もれば、重みで潰れる」

「はー。管理維持業務ってわけだな」


 感心したように見上げる紙月の視線の先では、屋根に上った身軽な土蜘蛛ロンガクルルロたちが、積もった雪をきれいに切り分けては下に落としていた。見下ろせばその落とした雪が、ちょっとした小山のように積もっている。

 いま屋根の上で作業をしていない小山には、また別の村人が張り付いて、その雪を小分けにしては邪魔にならない場所に積んでいく。

 また別のものは道をせっせと整備し、また別のものは雪の下から野菜を掘り出したりもしている。あれなどは、越冬野菜の類だろうか。


「雪下ろしと申しましてな。雪が積もるたびに大仕事になり申すが、やらねば家が潰れるという次第で」

「大変だなあ。でもあれ、うっかり下にいたら埋まっちまうんじゃないですか?」

「左様ですなあ。なに、春には会えますぞ」

「怖っ」


 これも雪国ジョークなのだろうか。

 しかし実際、下にいて雪につぶされるものや、足を滑らせて転落するものなど、事故には事欠かない仕事である。人族であればまず命綱などが必要だが、土蜘蛛ロンガクルルロも慢心してたまに落ちるという。天狗ウルカは飛べるが、下にいて埋まることはしばしばある。


 そういった仕事ぶりを眺めながらも、ウールソは足跡を的確に追い続けた。

 村人の足跡があちらへこちらへと踏み荒らし、時にはかき消されている中でも、視線を巡らせ、鼻を巡らせるウールソにはなにかしらの計算式から行き先が導き出されているようだった。

 そして自分の勘所だけを信用するのではなく、時には村人に声をかけて、アンドレオが通らなかったかと聞いて検めもした。


「おう、アンドレオさんなあ。来てたみてえだあなあ」

「んだなあ」

「屋根の上からよ、空模様見るついでにあたりも見るんだべが、そしたら山ン方に背中が見えただな」

「ありゃまんずアンドレオさんだべな。雪崩のにおいでもしたんかねえ」


 そういった村人は朝一で来ていた組らしく、それよりもずいぶん早くアンドレオは出ていったことになる。

 ただ、アンドレオが朝早くから山に仕事に行く姿は珍しいものでもないらしく、彼らは不信感を抱いていないようだった。


 それなりに時間がたっていることを考えれば、追う身としては急がなければならない。

 ならないのだが、こうも足を取られる雪道では、速度も落ちる。


 特に紙月は雪道には慣れていない。

 未来も慣れていないが、それでもウールソの後ろをついてその歩き方をまねしていたし、何より元から体力がある。

 しかしの紙月は歩きづらそうな足元もあって早々にリタイヤし、今はタマの背に乗って「英気を養っている」ことになっている。

 戦闘ともなればその魔法は他者の追随を許さぬ強力さを見せつけ、タマの背に乗っていればある程度の機動力もある移動砲台となるのだから、そのスタイルは間違ってはいない。いないのだが、見た目には完全にお荷物である。


「しっかし、アンドレオさんともめたっていう客人、何者なんだかな」

「旅人とのことでしたが、雪には慣れていないというあたり、暖かな地方の人間ですかなあ」

「うーん、どうなんだろう。とても遠い所から来たらしいけど」

「フムン?」

「アンドレオさんと故郷が同じで、それで頼ってきたらしいよ」


 ウールソの小動こゆるぎもしない足元を観察して感心したようにまねしながら未来がそう述べると、紙月は眉をひそめた。露骨なまでにひそめた。顔芸一歩手前である。


「なんでそんなこと知ってるんだよ」

「なんでって……お風呂で話したから」

「風呂ォ? お前あの変なやつと風呂入ったの? 俺以外のやつと風呂に? ってか俺も風呂入りたかったんだけど?」

「変なやつって……」


 何ともツッコミどころの多いからみ方である。

 面倒くさいからみ方ともいう。

 あの客人と風呂に入ったのは偶然だし、そもそも普段だって公衆浴場では誰かしら他人が一緒に入っているものである。

 だがすべてに丁寧に突っ込むとかえって面倒くさいすね方をされそうだったので、未来は端的に切り返した。


「仕方ないでしょ。紙月、酔い潰れてたんだから」

「言い返せないやつはやめろ」

「弱点属性が正論なのはいろいろダメだと思うなあ……」


 すねたように口を尖らす紙月を、クッソ面倒くさいと思うと同時に、かわいいなあと思ってしまうあたり、未来もたいがいではある。まあ、面倒くさいからと言って放り出したりはしないし、かわいいからと言って丁寧に対応もしない。雑にぶん投げていくスタイルだ。


「ちょっと話しただけだけどさ、悪い人じゃなさそうだよ」

「悪人ほどいい人っぽく装うもんじゃないか?」

「それだったらもうちょっとに見せるもんじゃない?」

「それもそうか」


 少なくとも怪しまれるようにふるまうのは悪手も悪手だ。

 後ろめたいことのある小悪党ならともかく、相応の大物ならば堂々としていそうなものだ。

 それに、あの客人の場合は、姿を見せまいとするのには理由があることも確認済みなのである。


「あの人ね、全身に大やけどのあとがあったんだ」

「やけど?」

「うん。勝手に言いふらすのはよくないと思うけど、でも、顔もやけどの跡がひどくて、それで隠してるんだと思う。見られるのを嫌がるっていうより、怖いのを見せたって言って僕のこと心配してくれたし」

「いい人じゃん」


 だから、未来としては悪い人なのではないのではないか、とそんな風に思うのだった。

 少なくとも理由なく悪行を働くようには見えなかった。それくらいには理知的で、理性的な人間だった。まあ大物の悪党ともなると、理知的な感じになってくるのもテンプレートではあるが。


「あとさあ、紙月の知り合いかも」

「ええ? 俺ぇ? 心当たりないぞ?」

「まあ紙月も目立つから、仕事中とかに見たことがあるだけかもね」

「なんか言われたのか?」

「紙月は保護者として問題があるってさ」

「なにおう、ふざけたことを」

「僕もさ、怒るより呆れちゃったよ。『ですよねー』って」

「突然の裏切り!?」

「いや、言い返せなかったよねえ」

「ぐぬぬ」


 別に未来は、紙月を嫌っているわけでも、侮っているわけでもない。

 むしろ未来から紙月へと向かっている矢印は、結構な大きさなんだろうなあと自覚はしている。

 ただ、それはそれとして、客観的に見た場合、紙月って結構アレだよなあとは思うだけだ。


 見た目は文句なしの美人で、それなのに気さくで庶民的とポイントは高そうだが、主食が液体でちょくちょくアルコールが入っているとか、雑に魔法使って雑に解決しようとしたりするとか、いぎたなくずるずる寝こけていたりとか、意外と足癖が悪くて足で物を動かそうとしたりとか、色々まあ、減点しようと思えばできるものだ。


 それにまあ、未来も加担しているので紙月だけの話ではないけれど、地竜をやっつけたり、鉱山を崩落させたり、草原ごと害獣の群れを凍らせたり、海賊船を沈めたり、荒っぽい話題には事欠かない。

 街を歩いて変なのに絡まれることもしばしばだし、誘拐されそうになったり誘拐されたり、未来に助けられたり、未来がオーバーキル気味に返り討ちにあった誘拐犯を助けたり、特に紹介されることもないまま流されていったけどあんまり洒落になっていないエピソードも少なくないのだ。


 少なくともまあ、見た目だけなら普通のお子様である未来のような少年を任せるには、あまりお勧めできなさそうだった。


 さて、一行がさらに進んでいき、第三村にさしかかるころである。

 葡萄ヴィンベーロ畑を広げて酒造をしているという、天狗ウルカのカンドーが治めるもっとも山深い土地だ。とはいえ山肌にしがみついているというわけではなく、山に囲まれたというべきだろうか。

 足をのばせばすぐに山であるから、山の恵みには事欠かなさそうだったが、同時に山の獣や、雪崩といった被害も少なくないという。


 ここもまたはっきりとした境界があるわけではなかったが、葡萄酒ヴィーノの醸造所であるという大きな建物が目立った。雪が解ければ、カンドーが住まいとする邸宅でもあるという。

 建物自体も大きくて立派なものだが、その地下には結構な広さの地下室があり、程よい低温と湿度で葡萄酒ヴィーノを熟成させているという。


「ワイナリーの見学って、そういや行ったことないなあ」

「紙月が経験ないっていうの珍しいかも」

「ワイン検定は持ってんだけど、そんな飲む機会なかったからなあ」


 紙月も一応は大学生だったのである。

 飲み会などもちょくちょく行っていたし、飲酒自体は慣れたものだったが、醸造所などの見学に行くほど熱心だったわけではない。

 将来的にワインにかかわる仕事に就くならばソムリエ資格などを考え、見学などにも顔を出したかもしれないが、二十二歳にもなって将来のことがさっぱり浮かばなかった人種なのである。あのままでは就活は危うかった……いや、それはそれで適当なところにそつなく入っていたのかもしれないが。


 などということを考えながら、微妙に気が抜けつつも村を抜けていった一行は、その先で思わぬ人物と遭遇することとなった。


「……こんな朝早くからなんの用だね、芸術家のセンセイ」

「村長……!?」


 ぎょろりとねめつけるようにして立ちはだかったのは、ブランフロ村全体を治める郷士ヒダールゴであり村長であるワドーの姿であった。

 巌のごときこの男は、見慣れぬ鎧姿をいぶかしげに見やるも、その勇ましげな姿にひるむこともない。憮然とした表情で、疎まし気に追い払うような仕草さえして見せた。


氷精晶グラツィクリスタロが目的か? それなら後で見繕ってやる。村の備蓄の、安い傷物だが」

「ああ、いや、実はアンドレオさんが黙って出ていっちまったってんで、娘さんに頼まれまして」


 ワドーは片眉を上げて、険しい顔立ちを一層こわばらせた。


「アンドレオが? やつが……? いや、しかし……なぜいま……」

「何かご存じなんですか?」

「やかましい。いまは他所モンに付き合っとる暇はない。とっとと帰れ」

「でも、アンドレオさんが」

「黙れ。ポルティーニョには後で俺が言ってやる。いまはそれどころじゃあ、」

「村長、大変だ! 三号氷室も全部やられっちまってる!」

「二号も五号もだ! 氷精晶グラツィクリスタロが空っぽになっちまってる!」

「騒ぐな馬鹿ども!」


 息せきって走ってきた年配の村人たちは、紙月たちの姿を認めるや、さっと顔色を変えた。

 聞かせるべきではない話を、聞かせるべきではない相手に聞かれてしまった、そういうことなのだろう。

 後に続いてきた数人の村人たちもまた、駆け付けたままの浮足立った体勢で、紙月たちを言葉もなく見つめる。

 その目は動揺し、困惑し、大いに迷いながらも……現状を察して、ほとんど据わりかけている。覚悟を決めかけている。

 気忙しくも、すでに腰の短刀や、つるはしめいた氷斧ひょうふに手を伸ばすものさえある。


 ワドーの分厚い皮手袋が、巌のような顔面を覆った。疲れ切ったような、絞り出されるような、そんな深いため息。


「…………センセイや。俺はこれでも穏健派を気取っておる。余所者をことさらに毛嫌いしてみせるのも、迂闊に立ち入らんほうが互いのためだからだ。かかわってほしくないし、かかわりたくないのだ。お前さん方が大人しくしておれば、俺とて血の気の多い連中を抑えて、土産でも持たせて帰してやったところよ」

「あー……俺たちも穏便に済ませたいところなんですがね」

「お前さん方には何のことやらわからんだろうが、聞かれたからには放っておくわけにはいかん。もとより季節外れの客人は怪しいことこの上ないし……その鎧、ただものではなかろう。子爵の手のものか、他所の貴族の犬か、はたまたよからぬ冒険屋崩れか……」

「ただの無害な芸術家ってのは?」

「それが互いのためには一番いいがな。だが、どちらにせよ、自由にさせておくわけにもいかん状況でな」


 ワドーが顔をさらしたとき、そこにはもはや逡巡はなかった。疲れ切った老人の懊悩などなかった。ただただひび割れた巌のごとき、厳然たる冷徹さだけがあった。


「取り押さえろ!」

「けがはさせるな!」


 合図は同時だった。

 ワドーの声に村人たちは得物を構えて囲みにかかり、そして紙月の声に応えたのは未来の《技能スキル》だった。

 その巨体からは想像できない機敏さで素早くタマの背中に飛び乗ると、未来は古びた木製の盾を掲げた。ささくれ立った樹皮に蔓や樹根が這いまわる、まるで大樹の一面をはぎ取ってきたようなそれは《ドライアドの破魔楯》という。


「《ラウンドシールド・オブ・シルフ》!」

「うおっ!?」

「魔術師か!?」

「ひるむな! 囲め!」


 途端、小規模な嵐のごとき旋風が、未来を中心にして巻き起こる。

 それは、内側にいる一行にとってはそよ風程度でしかないが、いままさに躍りかからんとしていた村人を弾き飛ばし、寄せ付けぬだけの圧倒的風圧である。

 攻撃手段の乏しい《楯騎士シールダー》ではあるが、それゆえにこそ、守りの術は他の追随を許さない。


 とはいえ、その圧倒的防御性能を引き出す代わりに、この《技能スキル》は使用中身動きが取れなくなるデメリットがあった。ある程度恣意的な解釈を行うことで効果を捻じ曲げ、デメリットを緩和することもこの世界ではできなくもないが、その場合肝心の防御性能は下がることがわかっている。


 村人たちはそういった裏側の事情まではもちろん知らなかったが、陣地に引きこもるようなその姿に、速やかに包囲の構えをとり持久戦に持ち込まんとしていた。

 《技能スキル》は対価もなしに発動するわけではない。この世界の魔術が魔力を用いるように、《技能スキル》も《SPスキルポイント》を消費する。持久戦に持ち込んで削り殺すというには、対策としては間違っていない。


「……なあ、、まずくないか?」

「いや、でも、あの鎧はいくらなんでも重すぎるだろ……」

「坊さんも乗っちまったぞ……?」

「そもそも冬なのに平気なのか……?」


 間違っていないが、大間違いだった。


「よーしタマ、今日は走っていいぞー」

「みゃーお」


 しわがれた猫のような、何とも気の抜ける鳴き声とともに、断じて気の抜けない恐ろしい怪物の踏み込みが、雪道に沈んだ。潰れた雪が瞬時に圧縮されて氷の塊になりはて、次の一歩がまた氷を生み出す。

 あんな過積載で動けるわけねえだろ、重すぎて雪に沈んじまうだろ、頼むから今すぐ冬眠してくれ、もしくは夢ならば覚めてくれ、そういった村人たちの必死極まりない祈りは、残念ながら誰にも届かなかった。祈るときは宛先をしっかりネ。

 そうなるとあとは、早かった。


「待て待て待て!?」

「おわーっ!?」

「それが人間のやることか!?」


 蒸気機関車のように容赦なく力強い歩みが、ゆっくりと、しかし確実に回転数を上げていき、猛然と雪を跳ね飛ばし、村人を跳ね飛ばし、前方のあらゆるものを跳ね飛ばしながら、駆け抜けていく。

 唯一の救いは、そのいかつい装甲に引き裂かれる前に、未来の風の盾によって柔らかく(当社比)跳ね飛ばされ、雪に突き刺さるだけで済んだことだろうか。


 柔い足元など何の障害にもならないとばかりに猛然と駆け抜ける地竜(小)と、それを中心として吹き荒れる旋風の盾。

 一般村人に止めろというほうが無茶振りであった。

 追いすがる数名の村人と、ワドーの怒鳴り声をはるかに置き去りにして、タマは駆ける。


「これじゃ『無敵要塞』っつーか、『無敵戦車』だな」

「機動力までついちゃうと、普通にチートだよね」

「フムン、さすがは森の魔女と盾の騎士、吟遊詩人のさえずりも馬鹿にはできませんなあ」

「いやあ、はっはっは……名乗りましたっけ俺ら?」

「冒険屋は耳ざといのも仕事のうちですなあ」


 もはや止めるものもない一行は、ただひたすらに山へと爆走していくのだった。






用語解説


・氷室

 雪や氷などを詰め込むことで、天然の冷蔵庫として用いられる施設のこと。

 断熱材として藁などがよく用いられる。

 小屋や倉庫のような建造物のほか、天然の洞窟や横穴を利用する例もある。

 氷精晶グラツィクリスタロを用いた冷蔵庫も、これらの施設名からとって氷室と呼ばれることがある。冷蔵庫という名前はまだ普及段階なのだろう。

 ここではどのような意味で用いられているのだろう。


・氷斧

 登山道具としてのいわゆるピッケル。


・《ドライアドの破魔楯》

 《ドライアドの破魔鎧》とセットの盾。木属性の《技能スキル》の効果を底上げする。

 見た目は地味だが性能はよく、古参プレイヤーからは「最上級の鍋の蓋」の異名で呼ばれる。

『お前が悪しき心を持って臨んだ時、ドライアドはお前を絞め殺す。尤も、ドライアドにとっての悪しき心を、我らが見定める術はないが』


・《ラウンドシールド・オブ・シルフ》

楯騎士シールダー》の覚える風属性防御|技能《スキル》の中で上位に当たる《技能スキル》。

 自身を中心に円状の範囲内の味方全体に効果は及ぶが、使用中は身動きが取れず、また常に《SPスキルポイント》を消費する。

『風の扱い方を覚えるんだ。風は気まぐれだが、理屈を知らない訳じゃない。理屈が嫌いなのは確かだが』

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