第91話 梨沙との約束(前編)

「か〜いちゃん! はやく海行こ!」


「わ、わかってるよ・・・ ちょっと待ってくれ」


俺と梨沙は6歳。来年は小学生だ。


「うわぁ⭐️ きれい〜!」


「うぉ〜! すげえな!」


「ほら! 早くきがえてきて!」


「わかってるよ。あんまり急ぐなよ?」


あの時は梨沙も相当はしゃいでいた。まぁ今とそんなに変わらないが・・・


「みてみてかいちゃん! この水着、かっわいいでしょ❤️?」


「うん。まぁ・・・ わるくないな」


「もう〜! かいちゃんったら。すなおにほめてくれればいいのに・・・」


「はいはい・・・ かわいいですよ」


「ぷ〜」


そんなふくれた顔しないでほしいよ。俺はいわゆるツンデレってやつなんだよ。


「うわぁ〜! きっもち〜!」


「すっげえきれいだなぁ」


ちなみに何故海へ来ているかというと・・・ 1週間前、


◾️◆◇


「かいちゃん? 私ね、・・・ちがう小学校行くの」


「え⁉︎ ま、マジで?」


急に引っ越すなんて言われても俺はどうしたらいいかわからなかった。


「り、りさはさみしくないのか?」


「う〜ん・・・ さみしいよ。でもね、ずっと会えないわけじゃないし・・・ 私は会えなくてもかいちゃんのことだいすきだよ❤️」


「・・・俺もさみしいよ」


梨沙は優しかった。友達が少ない俺に構ってくれたし、話しかけてくれた。俺も梨沙と話しててすごく楽しかった。だから・・・


「あれ? かいちゃん泣いてるの?」


「な、泣いてねぇよ・・ ぐすっ・・・」


泣くつもりはなかった。でも自然と涙が出てきたのかもしれない。それだけ梨沙は俺にとっても大切な存在だったということだ。


「だからさぁ・・・ 次の日曜日に海に行かない?」


「ああ、どこにでも行ってやるよ」


「ふふふ。私の水着もきたいしててね💜」


◾️◆◇


なんてことがあった。


「かいちゃん? なにぼーっとしてるの? 早く泳ご?」


「ははは、楽しそうだな」


「かいちゃんとこうして遊べるからね❤️」


そんなこと言われたら・・・ また涙出てきちゃうよ。俺だって梨沙と遊べることがどれだけ嬉しいことか・・・


「早く早く〜! 沖まで行こうよ〜!」


「い、いや・・・ 俺泳げねえんだけど・・・」


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