第41話 きもだめし(後編)

「きゃー‼︎ 快斗! 何よあれ!」


「ぎゃー‼︎ 快斗? ちゃんといる?」


「み、美香。落ち着け。とにかく騒ぐんじゃない」


「ぎゃ〜‼︎ もう嫌〜!」


美香がこんなに怖いのが苦手だったとは。最初からやめたらよかったのに。


「お、おい、大丈夫か・・」


「きゃー⁉︎ 誰よ〜‼︎」


いや、俺から逃げてどうするんだよ。


「い、いや。俺だよ、快斗だ」


「はぁ〜 なんだ快斗か〜 おどかさないでよ!」


別におどかしてるわけじゃないんだけど・・ やっぱ美香には無理だったか?


「美香? 怖いんだったら戻っても・・」


「だ、大丈夫だって言ってるでしょ! こ、怖いわけないじゃない。こ、こんな子ども騙し!」


めっちゃ声が震えてるけど・・ 怖がる美香も結構可愛いんだけど。


「か、快斗? そ、その・・ 手、つないでくれない?」


「はぁ〜 わかったよ」


俺は美香の手をつないでやる。手が震えてるなぁ。そんなに怖いのかな? ここは一つ勇気付けてやるか。


「美香、俺は何があっても手をつないでてやる。だから安心しろ」


「そ、そう? カッコいいね。ありがと❤️」


ちょっとかっこつけ過ぎたかな? やっぱ女子の前じゃかっこつけたくなっちゃうなぁ。それにしてもこっちがドキドキしてくるんだけど💓・・


「み、美香? そろそろ出口だしいいんじゃないか?」


俺たちが周っている間にいつのまにか出口の近くまで来ていたのだ。俺は別のドキドキだったんだけどなぁ・・


「だ、だめよ。最後まで! べ、別に手をつなぎたいとかじゃないからね!」


い、いや、わかってるけど。ちょっと近すぎないか? 胸の部分があたってるし・・ 美香の心臓の鼓動や息遣いがすごく伝わってくる。そしてやっと外に出られた。


「はぁー。やっと出口だ! み、美香! も、もういいだろう」


「え? あ、ああ。うん」


これ以上美香と一緒にいると俺がどうにかなりそうだ。美香、そんな悲しそうな顔しないでくれよ。お前が嫌いなわけじゃないんだよ。


「か、快斗? こ、ここまでありがとね!」


「あ、ああ。まだ震えてるけど大丈夫なのか?」


「う、うん。大丈夫だと思うよ。快斗こそ顔が真っ赤だけど大丈夫?」


「え? あ、ああ、大丈夫だ。これは気にしないでくれ」


一瞬ドキリとした。それにしても、美香は本当に大丈夫なのかな? 結構心配なんだけど・・


「あと・・ 快斗に聞きたいことがあるの」


「ん? なんだ?」


「この前の告白の返事、どうかな❤️?」





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