第40話 きもだめし(前編)

食事の時間も終わったし、今からは先生たちがきもだめしをやるそうだ。


「どうする? みんな行くか?」


正直俺は怖い系は大丈夫だ。でも美香や結衣、梨沙はどうなんだろうか?


『一緒に入るんだったら行くよ!』


3人とも同じ反応。面白いくらいシンクロしてる。でもきもだめしは2人1組らしい。


「きもだめしは2人1組なんだよ。俺と行きたい人は?」


『はい‼︎』


「・・・」


またまた当然のごとく同じ反応。そんなに俺と行きたいのか? まぁ仕方ない。ここは・・


「よし、またまたくじ引きだぞ?」


そう、くじ引きだ。結局これが1番公平なのだ。


「私が快斗と周るんだから!」


「快斗くんをゲットするのは私です!」


「快ちゃんは私と結ばれているはずだ!」


いっせいにくじを引く。当たりをとったのは・・


「やった〜 快斗と周れるわ❤️!」


「今回は美香か。じゃあよろしくな」


「私の魅力であなたを落としてみせるわ!」


「・・・・」


中々テンションが高いな。俺も疲れるんだが。てかきもだめしの目的間違ってるだろ。


「今宵はこの森に来ていただきありがとうございます。この先は何が起こるかわかりません。絶対にお連れ様と離れないように」


うん。中々リアルに仕上がっているなぁ。先生たちの仮装も本当のお化けみたいだ。まぁ高校生の目を欺くのは少し難しいが。


「か、快斗? も、もうちょっとゆっくり歩いてくれない?」


「なんだ? 怖いのか?」


「そ、そんなわけないじゃない。そ、その・・ 念の為よ。念の為だからね?」


「はいはい、わかったよ」


怖がってるんだな。結構可愛いとこあるじゃねえか。まぁ美香が怖がるのも無理はない。それだけこのきもだめしはクオリティが高いのだ。そんな事を考えてると急にお化けが出てきた。


「美香? 大丈夫か・・」


「きゃーー‼︎ 怖いよ〜!」


美香が驚いた拍子に倒れそうになる。俺は慌てて抱きかかえた。


「美香? 本当に大丈夫なのか?」


「だ、大丈夫よ。それに・・ 快斗が守ってくれるでしょ❤️?」


そんなに俺に期待されても・・ 俺だって怖い時は怖いんだぜ?


「約束ね?」


「わ、わかったよ。何があっても守ってやる」


そんな可愛い顔されたら断れねえだろ? てか告白みたいになってるんだけど。


「うふふ。快斗に惚れちゃうなぁ❤️」


「え⁉︎」


「ふふ。冗談よ」


ついつい本気にしてしまう。非リア充の悪いクセだな。


「じゃあ進もうか」


「そうね」


俺たちは闇の中に足を踏み入れていった。




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