第39話 俺からのキス

「今、美香とキスしてたよね?」


「き、気のせいなんじゃないか?」


勝手にキスされたとはいえ梨沙に見られてたとは・・ こいつはまためんどくせえな。


「ほんとかな?」


「ほ、ほんとだよ」


ふぅ〜 なんとか信じてくれそうだな。バレたら梨沙にどんな要求をされるかわかんないからな。


「ふ〜ん。・・じゃあ美香に聞いてくるね?」


「ちょ、ちょっと待て〜‼︎」


それは困る。バレるじゃないか。俺の言うことをちょっとでも信じてくれてもいいだろ?


「べ、別に聞かなくでもいいんじゃないか・・?」


「い〜や。真実はいつも一つなんだよ?」


どこかで聞いたことあるセリフ。そんな事件性があることじゃねえだろ。


「・・しました」


「ほら〜! やっぱりしたんだ!」


バレちゃあしょうがないだろ? 隠し通すことでもないし。そうだ。キスして何が悪いんだ〜!


「別にしたっていいだろ?」


「別にいいよ」


「は?」


いったいこいつは何が言いたいんだ? 訳がわからない。


「お前は何が言いたいんだよ?」


「その・・ 私にもキスして❤️」


「うっ・・」


そういうことか。そんな可愛い顔すんなよ。断れねえじゃねえか。


「キスはちょっと・・」


「いいじゃん! 美香はキス、結衣はデート。私だけ何もしてくれてないじゃん!」


梨沙が泣きそうな顔をする。いや、そんなこと言われても・・ 結構梨沙にも色んなことしてあげてると思うんだが。


「・・・一回だけだそ?」


「さっすが快ちゃん❤️ さあ、早く!」


俺は梨沙にキスをする。自分からキスをするとは。いつもされてばっかだからな。梨沙の優しい唇。温かいなぁ。そして俺は今幸せだ。どれくらいだろう? 5分近くそのままでいた。


「うふふ。快ちゃん、ありがとね❤️」


「・・・・」


俺はまだ夢を見ているかのようだ。すごく梨沙が可愛く感じる。そうだ。この際、この前のデートの返事を今・・


「梨沙? この前の返事だけど・・ 俺は・・」


その時、先生がやってきた。


「赤坂! 仕事だ! ちょっと来い!」


「は?」


今めっちゃいいとこだっただろ〜! 人生初の俺の恋を運命はなぜ邪魔するんだよ〜!


「快ちゃん? じゃあまた後で続き聞くからね」


「あ、ああ」


後で俺から言い出せるかな? 俺には勇気がないかもしれない。しかも美香も結衣もいる。やはり俺が1人を選ぶのは無理なのかもしれないな。


この後先生にすごくこき使われた。





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