第37話 キスって1番温まるな

「じゃ、じゃあ、くじ引きで決めよう。自由時間はいっぱいあるんだから」


なんで一つ一つ俺をめぐって争うんだ? 俺にそんな価値ないぞ。多分。


『いいわよ』


まぁいい。俺はこうなることを見通してくじを持ってきたのだ。俺も少しは賢くなったかな?


「えーっと、当たりは・・ 結衣だな」


「やりましたわ」


「くっそー 快斗と一緒に過ごしたかったのに」


「快ちゃんと一緒にやりたいことは色々あったんだけどなぁ」


まぁくじだからしょうがない。今日は結衣と過ごすとするか。


「じゃあ結衣、行こうか」


「快斗くんと周れるなんて・・ すごく嬉しい❤️」


笑顔の結衣が可愛い。まさに絵に描いたような可愛さだ。


「どこに行くんだ?」


「とりあえず歩いて探しましょう!」


歩きデートか。それもいいだろう。それにしても山だからすごく寒い。


「快斗くん、少し寒いのですが」


「う〜ん。じゃあ俺の上着貸してやるよ」


「はぁー 快斗くんの上着。とても温まります〜」


そんなふうに言われるとこっちが照れるんだけどなぁ。


「では私の上着を快斗くんに貸します」


「え? 上着持ってたの?」


「え、ええ。でもその・・ 快斗くんの上着がよかったというか・・」


「は、はぁ」


「と、とにかく私の上着を使ってくれていいです」


結衣の上着は結衣のいい匂いがする。やっぱ人の上着を着ると温まるなぁ。結衣の優しさに包まれているみたいだ。


「快斗くん? ここのカフェに入りませんか?」


「ああ、いいぞ」


こんな山の上にカフェがあるとは。中はとても暖かく、人が多かった。


「快斗くんは何にします?」


「んーっとねぇ・・ じゃあホットコーヒーで」


「じゃあ私もそれで」


ホットコーヒーは思いのほか温まった。たまにはカフェデートってのもいいもんだな。その後、俺たちはおしゃべりしてカフェを出た。


「俺はまだちょっと寒いな」


外に出ると思いのほか寒かった。カフェの中はだいぶ暖かかったからなぁ。


「そうですか? じゃあこれで❤️」


結衣がいきなり抱きついてキスしてきた。さすがに体の芯まで温まっていく。そして結衣の温もりがとても心地よい。


「・・あ、ありがとな」


「べ、別に大したことしてないですわ」


そのわりにはめっちゃ顔赤いけど? 多分俺も相当顔が赤いと思うけど。やっぱりキスされると恥ずかしい。


「じゃあそろそろ戻ろうか」


「ええ、そうですね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る