第30話 俺って修羅場を引きつけてる?

「な、なぜ美香がこんな所に?」


「え? 別にいいじゃない。挨拶しに行こうよ」


「ば、ばかいえ。こんな所を見られたら・・」


そう。高校生の男女2人がホテルで一緒に泊まったなんてバレたらどうなることか。


「第一なんで美香がラブホに家族と来てるんだ?」


まったく疑問だ。ここは家族と来るような場所ではない。


「何言ってるの? ここはラブホテルって名前なだけだよ」


「な、なに〜〜〜⁉︎」


ラブホテルって名前だけだと〜⁉︎ 店の外に大きくラブホテルって書いてあるじゃないか‼︎ あれは客集めか?


「い、いや、そんなはずは・・ お前だってそういう雰囲気だったじゃないか」


「それは・・ 快ちゃんが何か勘違いしてるから・・ その・・ 演技?」


「はあ〜〜⁉︎」


くそっ。俺は何を勘違いしてその気になってるんだ。危うく梨沙に告白するとこだった。マジでふざけんなよ?


「お、お前まさか・・それをわかってこのホテルに・・?」


「テヘッ❤️」


「お前〜‼︎ ふざけんなよ〜💢💢⁉︎」


俺の気持ちを返せ。あの少しでも青春を思い出してしまった俺の気持ちを。


「あれ? 快斗じゃない」


「あ」


やべえ。美香に見つかってしまった。勢い余って大きな声を出していたからだ。


「あと、あなたは七瀬さんですよね? な、なぜ快斗と一緒にここに?」


若干美香の顔が不機嫌になっている。梨沙、変なことは何も言うなよ? 絶対だぞ。


「ああ、私今デート中なんですよ。それでね、快ちゃんったらここを本当のラブホと勘違いしちゃって。可愛いですよね〜」


梨沙? ちょっとボディタッチが多くないか? ちょっと胸の膨らみを感じるんだが。


「へぇー ちょっと快斗? どういうことかな💢?」


もう梨沙〜‼︎ ここは隠すところだろ。俺がラブホと勘違いしたなんて恥ずかしいこと言うなよ。


「そ、その、美香? こ、これには訳が・・」


「ふ〜ん、七瀬さん? ちょっとこのバカいと借りていきますね💢?」


バ、バカいとって・・ 梨沙? お前は助けてくれるよな? お前は俺の味方だよな?


「あ、ご自由にどうぞ」


こ、この野郎〜‼︎ 俺を捨てるなよ〜‼︎ もう踏んだり蹴ったりだよ。


「じゃあね快ちゃん、ま・た・ね・❤️」


「ふ、ふざけんじゃね〜‼︎ こんな所で死んでたまるか〜‼︎」


俺は外に飛び出した。


「ちょ、ちょっと快斗‼︎ 待ちなさい‼︎」


こんなところで美香に捕まったら何をされるかわからん。第一なんでそんなに怒ってるんだよ? 俺、お前に何もしてねぇだろう。


「よし、もう少しで家だ」


あとあそこの角を曲がれば・・


「きゃあ‼︎ ご、ごめんなさい」


ぶつかってしまった。ちょっと急ぎすぎたな。


「こ、こっちこそすまん」


あれ? よくよく見たら知ってる顔だ。


「あ」


「あ」


最悪だ。


「快斗くんじゃない」


「ゆ、結衣⁉︎」


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