第29話 妹がいる

「んあ〜 気持ちのいい朝だ。やっぱホテルはいいなぁ」


俺は気持ちよく朝を迎えようとしていた。そう、していたのだが


「お〜い梨沙って、どわぁ〜〜⁉︎」


気づくと梨沙が同じベッドで寝ていた。寝顔がなんとも可愛らしい。


「な、なんで梨沙がここに?」


俺は確かにおやすみと言って寝たはずだ。だめだ、その後の記憶は全くない。


「ん〜 快ちゃん〜 まだ行かないでよ〜」


梨沙が急に抱きついてきた。なんだかうなされているようだな。もう少しこのままにしておくか。


「しかしこの体勢はちょっときつくないか?」


なにしろ俺は今上から梨沙に抱きつかれている。ちょっと重いかも。しかもドキドキする。心臓の鼓動が速くなるのを自分でも感じた。すると、梨沙が起きた。


「ん?あ〜 快ちゃん〜 おはよ〜」


「あ、ああ。おはよう」


きょとんとしている姿がいかにも可愛らしい。


「快ちゃ〜ん❤️」


梨沙がいきなりほっぺにキスしてきた。


「な、なにするんだ⁉︎」


「んふふ〜 お目覚めのキスだよ❤️」


か、可愛すぎる‼︎ なんで俺は梨沙に意識しちゃってんだ。ヤバイ、昔の気持ちが湧き上がってきてしまう。


「り、梨沙、俺はお前が・・」


「プルル、プルル」


その時俺の電話がなった。


「快ちゃん? 電話鳴ってるよ」


「あ、ああ。今から出るよ」


くっそ〜‼︎ せっかくいい雰囲気だったのに。俺やっぱり梨沙のことがまだ好きなのかな?


「誰だ?こんな時に?」


[あかり]


こ、これはまずい‼︎


「梨沙、ちょ、ちょっとごめん。電話してくる」


「うん、わかった」


俺は急いで外に走り出た。


「も、もしもし?」


「あ、赤坂快斗君ですか?」


「は、はい。そうです」


もはやお兄ちゃんと呼んでくれないのか?それにこの冷たい声。これは俺の命が危ないぞ。


「あ、あかり? 俺が悪かったよ」


「あれ? 何のことを言ってるんですかね?」


「そ、その・・ 梨沙とデートしてたこと」


「・・・」


今回は俺が悪い。まぁあかりがなんで怒ってるのかあんまわかんないんだけど。


「今日の午後には帰って来る? ・・お兄ちゃん」


「ああ、大好きなお前のもとにちゃんと帰るよ」


「だ、大好きって、恥ずかしいからやめてよ‼︎」


「はは、可愛いなぁ」


「も、もう。お兄ちゃんのバカ〜」


電話を切られてしまった。でもなんだか嬉しそうだったな。やっぱり俺にはあかりが待ってくれている。今梨沙と付き合うわけにはいかないな。


俺はホテルの部屋に戻った。そこでは梨沙が待っていた。


「ねぇねぇ快ちゃん、そういえばさっきなんて言おうとしたの?」


「それは、・・秘密だよ」


「え〜 教えてよ〜」


「秘密ったら秘密だ」


「もう〜 快ちゃんのケチ」


悪いな梨沙。今はまだ俺の気持ちをお前に伝えることはできない。またその時がきたら次は必ず・・


「そろそろホテル出るぞ」


「そうだね。楽しかったよ。ありがと、快ちゃん❤️」


「ああ、俺もだよ」


今日は俺からキスをした。梨沙の柔らかい唇。すごく温かい。


「えへへ、ありがと❤️」


「・・やっぱり忘れてくれ」


「なんで〜 いい雰囲気だったじゃ〜ん」


「そ、その・・恥ずかしい」


「快ちゃんったら照れ屋さんね」


俺は顔が真っ赤になるのを自分でも感じた。俺からの初キス。それは俺の気持ちそのものだ。


「はぁ〜 疲れたよ。 お母さん」


1組の家族が入ってきた。ん? なんか聞き覚えのある声。


「ねぇ快ちゃん。 あれって遠藤さんじゃない?」


うわぁ〜 これはまずい‼︎

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