第21話 お前は・・ 妹・・ だろ?
遊園地は平日ということもあってそんなに混んでいなかった。来ているひとは、なぜか恋人同士が多い。やめてくれよ。また意識しちまうだろ。あかりは妹だ。そう、妹。妹に惚れる兄などどこにいるものか。あってはならないんだ。
「か、快斗君。ジェットコースター乗ろ!」
「はいはい、ちょっと待ってくれよ」
あかりは半端なくテンションが高いな。そんなに遊園地が好きだったっけ?まあ俺もあかりと来れて嬉しいけどよ。
「ひゃあ、高いよ~」
「は、はは。すっげえな」
このジェットコースターはこの遊園地最大のものだ。高さも怖さも他のものとは比べ物にならない。
「落ちるよ~」
あかりが手を握ってきた。ジェットコースターのシチュエーションってなんでいつもこうなんだ?あかりの温もりが伝わってくる。ああ、俺何考えてるんだ。この後ジェットコースターが落ちて考えなどすべて吹き飛んだが。
「はぁ~ ジェットコースターすごかったね」
「ああ、そうだな」
うん。あれはいろんな意味ですごかった。もう一回乗ってもいいだろうな。
「次はね~ あれとか、それとか・・」
「はいはい、わかったよ」
散々動かされたな。朝からあっちこっちへ引っ張られてばっかだな。
「あんま走んなよ。あぶねえぞ」
「大丈夫だ・・ きゃあ!」
ほら言わんこっちゃない。コケる前に救い上げてやろう。と思ったその時、俺も一緒にすべってしまった。
「あ、あぶねえ」
俺は気付いたころには手にやわらかい感触が。そして口にも。やばい、どうしよう。そんなつもりはなかったのに。
「ご、ごめん。大丈夫か? あかり?」
「・・・・う、うん。大丈夫だよ」
めっちゃ気まずい。こういう時はどうしたらいいんだ?恋愛初心者の俺にはさっぱりわからん。しょうがない、今日はもうおひらきとするか。
「あかり、そろそろ帰るか?」
「う、うん。そうだね・・」
俺たちは一言もしゃべらずに遊園地を出た。もっと楽しいものになるはずだったのに。俺、悪いことしたなぁ。
「あかり、ほんとにごめんな」
「・・責任とってよ」
「へ?」
「だから・・最後まで責任とってよ」
責任って言われても。何をすればいいんだ? お金ってことか? それとももう一回連れてけってことか?
「責任って言われても・・・ 何をすればいいんだ?」
「だ、だから・・こうよ!」
「⁈」
ふいにあかりが倒れてきたかと思ったら、口と口があたった。今までにないぐらい
優しい感触。そして何より温かい。
「こ、これでさっきのお返しよ」
「お、お、お返しって、ど、どういうことだ?」
「だ、だからその・・ ほら、もう帰るわよ」
「う、うん」
さすがに妹とのキスは恥ずかしい。でもなぜか嬉しいかった。なんでだろう。この俺がまさか妹に惚れるなんて・・ あるわけ・・ ないよな。
「今日はありがとね、お兄ちゃん❤」
気のせいかな? 今日のあかりはいつもよりずっと可愛く見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます