第9話 自意識過剰は困るな

次の日の朝、俺は朝早く目が覚めた。そうだ。あいつらを起こしにいかないとな。俺はあかりの部屋まで行った。部屋に入ると2人とも熟睡していた。あかりは寝相がいいからしっかりベッドで寝ている。美香はというと、ヨダレが少したれ、腹を丸出しで寝ていた。その格好は男子の欲望がもたないぜ。不意に美香が寝言を言いだした。


「あぁーん、快斗〜 もっと〜 もっとだよ〜」


やべぇ。こいつどんな夢を見てるんだよ。まぁ2人とも気持ちよさそうに寝てるな。もう少し寝かせておくか。そうして俺は部屋を後にした。

気付けば朝の7時半。


「快斗〜 おはよう」


美香が下りてきた。寝癖で髪がたっている。そこがまた可愛いのだが。


「あかりちゃんは起こさなくていいの?」


「ああ。あいつはまだ学校に行けてねぇんだ」


そうだ。あかりは中学1年になってから1度も学校に行ってない。こればっかりは俺でも美香でもどうしようもない。


「快斗、あかりちゃんのこと、大事にしてあげなよ」


不意に美香がそんなことを言いだした。


「どういうことだ?」


「ううん。昨日ちょっとね」


あぁー。女子お得意の恋バナというやつか。ちなみに俺は恋バナに参加したことがない。何しろ話す内容がないからな。少し気になるが、まぁいいか。


「じゃあ快斗、学校行こうか」


「ああ、そうだな」


こうしてまた高校生活の1週間が始まった。


午後4時。やっと高校が終わった。やはり1週間の最初は疲れるなぁ。美香はというと、宿題をやっていなかったので居残りさせられた。まったくあいつは何やっているんだか。家に帰ると、玄関の前に1人の女子が立っていた。背は低めで、年はあかりと同じ位か。しきりに家を見ている。何の用事だろう?


「君、何をしているんだ?」


「私、赤坂さんのクラスメイトで田中麗奈っていいます。よろしくで〜す❤️」


うーん。あかりとはまるっきり性格が反対の子だな。でも顔は結構可愛い。露出も多めの服装だ。


「あ、あぁ。よ、よろしくな」


「・・・・」


急にその子が黙った。ん?俺何かおかしな事でも言ったか?


「ど、どうしたんだ?」


「おかしいですねぇ〜 私の笑顔に惚れない男なんて今までいなかったんですけどねぇ」


「・・・・」


こ、こいつ。どれだけ自己意識激しいんだ。てか俺をなめてもらっちゃぁ困るな。まず、あんなに可愛い妹の服や下着を毎日洗濯していたのだ。あと、美香という幼馴染みもいるのだ。今更そこらの女子に惚れたりはしない。


「もしかして、お兄さん、経験済みですか?」


こいつ。初対面からぐいぐい来るな。てか喧嘩を売っているのか?この彼女いない歴=年齢の俺が経験済みなわけないだろう。


「そういうわけじゃねぇよ」


「ははーん。高校生でまだどう・・・」


「も、もういいだろう。早く用件を言ってくれ」


こいつは放っておいたら何を言い出すかわからないな。


「あのですね。私、中学入って学年全員と仲良くなったんですよ。で、赤坂さんだけ会ったことないから友達になりたいんですよ」


なるほど。なんか、みんな友達だーみたいなやつか。それで不登校のあかりに会いに来たってわけだな。


「あいにくだが、今あかりには会えな・・」


「おっじゃまっしま〜す」


「・・・・」


マイペース過ぎるだろ。もはや自分勝手ってやつだな。しかし今あかりにこいつを会わせて大丈夫なのか?俺はあかりに相談することにした。

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