第8話 いつの間にかライバルに?
「だ、だ、だ、誰よあんた」
「快斗の幼馴染で美香って言いま~す。妹ちゃんだよね。よろしく~」
これはまずい。まずあかりの心がもたないだろう。いまにも泣き出しそうになっている。そして何の事情もしらない美香はすごく上機嫌だ。
「あかり、一回こっちに・・」
「絶対嫌だ~~~」
部屋まで走り去ってしまった。
「快斗、どういうこと?」
俺は美香に一切を打ち明けた。妹がいまどういう状況なのかをすべて。すると、
「私に言い考えがあるわよ」
どうしよう。美香は何を言い出すかわからない。でも現状打つ手なしだからここは美香に頼るしかないな。
「よし、じゃあお前の考えを言ってみろ」
「それはね。・・・・」
うん。やっぱりとんでもないな。てかその案、俺のメンタルがもつかわからんぞ。まぁ一か八かだ。試してみるか。
「よし、じゃあ二階に行こう」
「OK」
こうしてあかりと美香を仲良くさせる計画が始まった。
あかりの部屋の前だ。
「快斗~ 先にお風呂入っちゃおうよ」
「あ、ああ。は、入ってきたら」
「一緒に入っちゃいましょうよ。昔み・た・い・に」
「な、な、な、なにを言ってるんだ」
「いいじゃん! 入ろうよ」
「しょ、しょうがないなぁ」
「絶対だめぇ~~~~~~」
不意にドアが開いて部屋からあかりが突っ込んできた。
「絶対だめぇ~~ 兄貴は私のパートナーなんだから。一緒にお風呂なんて絶対だめぇ」
これであかりの本音が聞けた。そうか、こんなにも兄を慕ってくれていたとは。
「計画大成功だな」
「えっ。ど、どういうこと?」
「今までの演技だったんだぜ。なあ、美香」
「・・・」
「み、美香?」
「まぁ、そういうことにしておくわ」
美香、大丈夫か?顔が真っ赤じゃねぇかよ。今のに赤くなる要素はないはずなんだが。
「妹ちゃん。私ね、あなたと仲良くなりたいの。これからは仲良くしてくれないかな?」
「・・・・」
やはりあかりにはちょっと難しいか。
「美香、もうそのへんにしと・・」
「いいよ」
え。マジですか。俺でも半年かかったのに。さすが女子同士ですね。
「美香さん、ちょっとこっち来て」
「うん、わかった」
何だよ。俺には聞かせてくれないのか。女子の心とはわからんものだ。
「条件が一つある。兄貴にベタベタしない事」
「それは、無理かも・・」
「じゃあ、友達をやっぱり辞・・」
「わ、わかったわよ」
「交渉成立。よろしくね、美香さん」
なんかあかりが美香を脅したように見えたけど大丈夫か?何の話をしたんだろう。俺も聞きたかったな。まぁいいか。
「ライバル登場ね」
「何だよ美香。ライバルって?」
「ううん。何でもないよ」
ライバルって何だ。いつの間にあかりと美香はライバルになったんだよ。まぁ仲良くしてくれて結構だな。あかりにとっては嬉しいだろうな。気付いたら夜の10時だ。
「そろそろ寝よっか」
「ああ。そうだな」
俺たちはもう寝ることにした。
「私どこで寝ればいい?」
「えーと。お前は・・・」
俺が考えていると、ふいにあかりが言い出した。
「美香さんは私の部屋で寝ましょう」
「いいのか?」
「仕方ないじゃない。他に寝る所ないし」
「俺の部屋っていうのも・・・」
「絶対だめーーー」
何がそんなに嫌なのか全くわからないが、まぁこれであかりと美香の仲ももっと深まるだろう。
「じゃああかり、美香、おやすみ」
「快斗、おやすみ❤️」
「兄貴、おやすみなさい」
あかり、顔がちょっと怖いけど大丈夫か。何事もなければいいのだが。そんなことを考えながら、俺は深い眠りに落ちていった。
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