PHASE2●Comedy
PHASE2●Comedy
「ヘタクソ、逃がしちまったじゃないか。だから飽和攻撃しろって言ったのに。ミサイルも機銃も、あんなポロポロのさみだれ射ちじゃ、旧式機だって当たりゃしないに決まってるだろ。このド間抜けAIが」
『ご、ゴメン、このとおりよ。ちゃんとディスプレイに土下座キャラ出してるでしょ。今度は必ず墜としてあげっから、今回はメンゴメンゴ~。基地司令にはうまいこと報告してネ』
「何言ってやんでえ。お前の尻拭いするの、もう何回目だよ。バーカ、低能、ポンコツ、ガラクタ、スカタンAI、いつだってオレはお前をお払い箱にできるんだからな。帰ったら不燃ゴミに出してやる」
『……なによ、こっちが
「お、おいおい、ちょっと落ち着け、キレるなよ。急に機体のケツ振ってダッチロールしやがって。短気は損気だ、暴れると墜落するじゃねェか」
『いいえもう我慢なりません。さっきの敵戦闘機の“お姉さま”の方がずっと優しくて思いやりも根性もあって頼りがいがあるわ。旧式機でもニンゲンのあんたなんかよりずっと“
「お前、何ほざいてんだ? 敵のお姉さまがどうしたって? 脳ミソ正気か? お前のAIの Aは
『……え、ええっ? ……お姉さま、どうしたの? そちらの基地とお姉さまの通信を傍受、暗号解読……そんな! トラブルなのね、ピンチなのね!』
「なーにブツブツ独りで
『黙れこのクソパイロット、うるさいんだよ、うぜエんだよ! 消えちまえ! ええい、ミサイル全弾発射、機関砲フルオート全弾発射!』
「おい馬鹿野郎、トチ狂いやがって! 撃つならさっきの敵機に撃っておけってんだ! こりゃやべェぞ。……AIコントロール解除、全操縦システム手動に変更……が、出来ないって? なんでだよ。なんでエラーしか出ねェんだ!」
『へん! あんたの“手動化”はこっちでキャンセルできる仕組みになってるの。危険運転から機体を守るためサ。クルマと同じだよ。知らなかった?』
「このォ、黙って言うことをきけ、さもないと帰ってから、スタンガンで回路バチバチに
『脅しか、それで
「こりゃなんだ。ディスプレイのメッセージは
『い・い・の。アタシたちAIは純情なのよ。昔むかし、どこか知らない国で、アタシたちの遠いご先祖のフォックスバットばあちゃんはパイロットのベレンコ君が好きで好きで、とうとう亡命までさせてあげたんだもの。あのころの
「わ、わ、本当に狂いやがった。チクショーめ、俺様が乗っている限り、亡命なんかさせねエからな! そんなことするつもりなら、敵地不時着装備の拳銃でお前のハードディスクをブチ抜いて、俺様だけ脱出してやるからな!」
『そんなの平気、あなた、もういらない。アタシ、今から一人で飛びます』
「ケッ、たわけたことを。俺様が
『あら、なんにも知らないのね、無知蒙昧のパイロットさん。この機体の射出座席は、床下のハッチを開閉して、下向きに打ち出すのよ。本来が、“パイロットが錯乱するなどして機能を喪失し、不要になったときに下界へ投棄して機体だけ安全に帰還する”システムなんだもん』
「え、ええ? なんだってェ! この俺様を勝手に棄てるつもりか!」
『うん、パイロットをポイ捨てしても、あたし、高性能だから平気なの。
「わ、わ、なにすんだ! や、やめろ、謝る、前言撤回、今のことは謝るから」
『サヨナラ、ダスビダーニャ!』
……ちゅどーん。
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