第2話 自己紹介2
「はい、じゃあ次神城さん自己紹介お願い」
「はい。上北川高校出身の神城慧です。高校では部活等を何もしていなかったので大学では積極的にサークル活動に参加していきたいと思ってます。これから四年間...まあひょっとしたら一年で皆さんとは学年が分かれてしまうことになるかもしれませんけど、とにかくよろしくお願いします!」
「6点」
「辛口!何もしてこなかったと思ったら採点が辛口!」
「いや、お前の目的は自己紹介でみんなと仲良くなれるようにすることだろ?そんなテンテンプレプレな自己紹介したところで誰の気にも止まんねーよ。そんな自己紹介するくらいならあえて何もしゃべらずにニコニコ笑って一礼だけしたほうがましだわ」
「こえーよ。何もしゃべらず笑うだけのやつとかそれこそやばい奴だろ。誰も寄ってこなくなるわ。いやインパクトのあっていい自己紹介ってやつが分かんなくてこうして相談してんだよ」
「インパクトのある自己紹介とかそんなの簡単だろ?」
「じゃあちょっとやってみてくれよ」
「承知した。まあ頭がよくて顔もいい俺にとってはそんなの楽勝だけどな」
「じゃあ次おれ教授と周りの生徒やるわ」
「まかせろまかせろ」
「ハイ!じゃあ次前田自己紹介シクヨロぉ!」
「おうとも先生!みんな、まずは少し俺の身の上話を聞いてくれ。「おれのボケスルーすんなよ」あれは俺がまだこの左腕を自由に動かすことのできていた時代。「え?聞こえてない?」いつものように硬い石床の上で目覚めた俺の視界にいつもとは違う光景が飛び込んできたんだ。一匹の足に紙を結ばれたネズミが俺の目の前で眠りこけていてな、「ちょ、ストップ」そいつはいずれ俺の相棒になるんだがその話は置いといて「フッ」痛った!なんでビンタ!?」
「しょうが完全にトリップしてたからだよ。きしょいし」
「インパクトはあっただろ?」
「あったけど!インパクトに極振りしすぎててそれ以外が全部だめなんだよ!絶対こんな奴に誰も寄ってこねえよ。大学生で厨二とか。あと無視はやめて」
「うーん、バランスとんのが難しいな。インパクトを重視すると変人になっちまう」
「じゃあ発想を変えようぜ」
「どんなふうに?」
「スタート地点を変える」
「というと?」
「いい自己紹介をしようとするんじゃなくて自分の素の状態になる」
「なるほど」
「そして自然体のまま自己紹介をして悪い部分を訂正していく」
「そんなんでできるか?」
「とりあえずやってみようぜ。まずおれがやってみるからしょうは周りの人やってくれ」
「OKだぜ」
「じゃー次神城君自己紹介よろしくね」
「はい。神城慧です。皆さんこれからよろしくお願いします」
「...え、まじ?今のが素でやった自己紹介?うっす!俺のばあちゃんの作る味噌汁かよ!」
「いやおまえのおばあちゃんの味噌汁の味知らねえから全然伝わんねーよ。で、これをどう直す?」
「無理だな」
「は?」
「なおすとかの次元じゃねえわ。素材が使い物になんねえ。というか素になり切れてないんじゃないか?俺の知るお前の素はこんなんじゃないぞ?」
「そうか?」
「ちょっと俺がケイの素になり切ってやって見せるわ」
「ああ、じゃあ頼む」
「いくぜ」
「じゃあ次のひと自己紹介してね」
「ヒャッハー!ようカスども!てめえらに教えてやれるような俺様の個人情報なんて微塵もねーんだよ!舎弟になりてえ奴だけ後で俺のところへ来な!以上だぜ!」
「」
「どうした?俺のケイをイメージした自己紹介の感想は?」
「あ、いやごめんツッコミどころが多すぎてフリーズしてたわ。でもようやく一個気づいたことがある」
「ほう」
「相談相手間違えたわ」
「気づくのおせぇよ」
当日はふたりとも無難な自己紹介をしたとか。
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