第13話
「…………」
どうやら夢を見ていたらしい。
中学の時の夢だった。そういえばあの時家に帰った後大泣きしたっけ。学校で自分の真理に気づいた時はショックで痛みが消えたのか黒板のことはあまり突っ込まなかったけれど、やはり痛みはしっかりあったらしい。
トラウマ級の出来事だったけれど、お陰で気付かせてもらえたのでなんだかんだ言って僕は淡河に感謝してる。
そしてアイツの言ったことや思ったことは何一つ間違ってなどいないのだ。結局僕は自意識過剰の上にみんなの気遣うであったり優しさにあぐらをかいていただけなんだ。
ここは保健室。僕は少し眠かったので昼休みにここで寝ていたのだ。次の授業まで残り十分を切っていた、僕はベッドから這い出た。
今は六月。ジメジメする梅雨の時期である。そして生徒会長が家に住み着いてから二ヶ月が経とうとしていた。
×××
昼休みの後のこの授業は、学年集会であった。よって僕ら二年生は瀬川高校多目的室にすし詰め状態である。
身動きも取れないほどおしくらまんじゅう状態でもないのだが、梅雨の無駄に湿度の高い気候も相まって、シャツが体にベタベタと吸い付いてきている。これはかなり気持ち悪い。
学年主任の先生がだらだらと長い話をする。聞く耳を持たない多くの生徒は隣やら前後やらで与太話をしていた。
もうちょい真面目に聞いてやれよ。ほら先生泣きそうだぜ(笑)
話に一区切りついたのか、話を終えた先生は一礼すると足早にフェードアウトしていった。
うわーかわいそうー。
「続いて生徒会長折鶴から、姉妹学校交流会の説明をします」
突然の聞き覚えのない連語に違和感を覚えたのか、生徒らはざわざわし始めた。が、すぐに制される。
「えーと、生徒会長の折鶴です」
その一言で学年全体が静まり返る。というか静まった。まさしく鶴の一声である。名前も折鶴だから面白い。さすが一年生で生徒会長に当選しただけある。
彼女は簡単な前置きをしてからこう続けた。
「来週の金曜日に、我が瀬川高校の姉妹校である清水沢高校とで交流会を行います。去年まではなかったのですが、今年からの導入です」
確かに去年僕らが一年だった時はやっていなかった。
「全学年で交流をするのですが、それぞれの学年でやることは違います。一年生は百人一首、三年生は音楽会、そして我々は………」
全生徒が生唾を飲み込んだ。別段それほどすごい発表でもないんだけどね。つられたようになんとなく僕も飲み込んでみる。
「バスケットボール大会です‼︎」
この瞬間の学年は二組に分けられた。
喜ぶ組。主にバスケ部、スポーツのできるリア充が多い。きっと裏には女の子にかっこいいとこ見せたいなんていう下心もあるんだろうが!
そして悲しむ組。こちらは非リア、運動音痴で構成される。なんてったってバスケットボールだからな。チームスポーツだ。ぼっちにとっちゃ端で観戦してるだけだろう。
それでも練習に付き合わないと怒られるんだろうから非リアにとっちゃ時間の浪費でしかないだろう。
無論、僕は後者である。
「こちらもあちらも七クラスあるのでそれぞれのクラスで試合をします。当日は午前のみで学校は終了です。お弁当等も必要ありません。持ち物などの詳細はこの後のホームルームで配られますので確認してください」
その後折鶴は話を終え、戻っていった。そして司会が号令を出す。
「この後のホームルームでは、姉妹校交流会についての話し合いをしてもらいます。誰がスタメンになって、誰がベンチになるかなどを決めておいてください。それでは学年集会を終わります」
まあいいだろう。どうせ僕には関係ないことだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます