第5話
「な、なんでまだいるんだよぉ⁈」
「だから居候させてくださいって言ってるじゃないですか」
そう言って折鶴さんは頬を膨らませる。
いやその反応はおかしいだろぅ…。
「まずどうやって入ったんだよ⁈」
「郵便箱の裏に張り付いてました」
といって彼女は『鍵、ゲットだぜ!』と言わんばかりに見せつけてきた。
みんなまじで気をつけて‼︎僕の二の舞にはならないで‼︎
「なんなんだよまじで朝のことと言ってさあ」
「だから居候させてくださいって」
「だからヤダっていってるだろ‼︎」
「だから居候させてくださいって」
「なんなんだよおんなじことばっか言いやがって‼︎」
「だからここに住ませてくださいって」
「内容ほぼ同じだから‼︎」
「だから夕食食べてくださいって」
「ありがとう‼︎いただきまぁす‼︎」
僕はフォークを持ってサラダのささみをぶっさして口に運ぶ。
質素な味ながら少しタレがかかってて美味しかった。
「うんうまい」
…………。
「じゃねえよ餌付けしてんじゃねえ‼︎」
頭の中で何かが弾けたような気がして思わず僕は食べかけのささみごとフォークを机にぶっさす。
「あーひどぉい、ササミに罪はないのに」
「じゃあ罪のあるお前には刺していいんだなそうなんだな⁈」
フォークを素早く折鶴さんに向けてスターなバーストストリームをかますが避けられる。
その反応速度、さてはお前、二刀流使いだな?
「…………くそ、ちょこまかと……」
「なめないでいただきたいですね、これでも文武両道で通してますのよ……グフフ」
少し落ち着いてきたので乗り出していた身体を元に戻す。
「てか母さんそろそろ帰ってくるから、早く出てってほしいんだが」
しっかりとハッタリをかましてササミサラダを頬張る。
「大丈夫です!お母さんにはもう話を通してあります」
「ふーん…………………………はぁ⁈」
コイツもそうだが何してんだよ母さん⁈
「どう連絡取ったんだよ⁈」
「この家の固定電話に『お母さん』という連絡先があったので」
「嘘だ‼︎優、知ってるもん‼︎」
と言って今度はキャベツごと机にフォークをぶっ刺して
「お前が連絡してないことくらい‼︎」
と続ける。
「なら電話してみますか?」
そう言って折鶴さんは固定電話をガチャととり、こちらに差し出して微笑んだ。
……いいじゃねえかやってやんよ…。
嘘だったら警察に差し出してやる…。
電話をゼロフレームでとり、母に電話をかける。
折鶴さんは鼻歌を口ずさみながら、足をプラプラさせていた。
連続音を聞きながらどう警察に突き出そうか考えているとカチャと音がした。
「もしもし、母さん?」
「ハロー、ママよー」
「なんか居候させてほしいとか言ってるやつがいるんんだけど」
『ああ知ってるわよ、いいじゃない、女の子と一緒に同棲って』
「何が同棲だよ⁈」
もう呆れるぜ家の母…。
『イチャイチャするのはいいけどハメ外しすぎないように!つけるものはつけるのよー。じゃあねー』
「なんだよそれ、説明を……ちょっと?母さん?どうしたの?……クソ」
いきなりきられてしまった。
なんなんだよあの母親、なんだよつけるものはつけろって……。
「ほらね」
そう言って折鶴さんはニコッと微笑んだ。
「僕は認めないからな‼︎お前が居候なんて!」
「けどもう義母さんが認めてるからー」
「お前に僕の母さん義母さんと呼ぶ権利はなーいっ‼︎」
思わずちゃぶ台をひっくり返すノリで机をひっくりかえしそうになったが衝動を抑える。
なんかセリフが違う気がするが気にしない。
気にしたら終わりな気がする…。
「じゃあ添い寝してあげるから」
「だが断る‼︎」
「じゃあいいことしてあげるから」
「だが断る‼︎」
「じゃあ毎日ご飯作ってあげるから」
「だが断れねーっ‼︎」
思わず頭を抱えてしまった。コイツは僕より数枚上手のようだ…。
言うなれば先輩とおんなじ雰囲気である。
突っ込んでも突っ込んでも違うところからおちょくってきやがる。
「じゃあ、神名くんが学校でもいい立場になれるよう手伝ってあげます」
「いらねえよ‼︎何気に今の立ち位置気に入ってるんだ」
目立たずに一人でいられるあたり、な。
「あなたがいらないと言っても認めないといってもやると決めたらやるんです、私は‼︎」
そう言って折鶴さんは椅子の上に立ち机に片足を乗せる。
後ろから波がザッブーンとかかってきそうだ。
「認めねえからな僕は‼︎あと足下ろせ親御さんに何を教わってきたんだ…?」
「それでもいいです。やることぁやる女ですから、折鶴如は!」
そう言って彼女はピースを決めたあと律儀に椅子に座り直した。
まあ足置いた時点で律儀もクソもないけど。
「……認めない、絶対に認めない……」
くそ、絶対追い出してやる……。この家に二度と入ってこれないよう思い知らせてやる……。
……てか勝手なことしてんじゃねえよ、生徒会長…‼︎
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