世界すぐ終わる
何度目の目覚めだろう。体は動かず指すら重い。数を数えながら呼吸する。いち、に、さん。それ以上を数えるのはやめた。頭はまだ覚めない。
昨日世界終わったんじゃなくて?
眠りからの復帰ではなく終了からの起動だからこんなに重いんだ。途切れ途切れの記憶。受信の下手なラジオ。稼働限界を越えたコンピューター。ねぼすけの二度寝、三度寝。私の体が重いのではない。世界が意識を失っていたから、私たちも接触不良で消えたり点いたりする電球みたいになっているんだ。
世界が消えてしまえば私たちも消えてしまうので、厄介な話なんだけれども、こんなものだと思ってしまうとこんなものだ。ポンコツな世界だ。
「そうだよ、ねえ」
声が出るようになったので話しかけてみた。横に人が腰掛けていたはずだが消えていた。空白にはすぐに砂が撒かれて穴が埋まり景色を寄せ集めて色が乗るので、誰かがいたのか何かがあったのかもう分からなくなった。
制服のスカートをぱたぱたさせて風を起こす。雑に作った風だが気持ちいい。体も十分に血が回った。講義室に戻ろう。四限目が終わればお昼だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます