第4話 妹再生計画その4


「どう? お兄ちゃん!」


「なんか……微妙?」


「えーー」


 家で買った服を妹に着させてみた。なんだろうこの違和感……確かに可愛い、店員さんに聞きつつ、妹に似合う可愛らしい黄色のワンピースを買ったんだけど……。


「駄目?」

 悲しそうな顔で俺を見つめる妹、昨日とは違いはっきりと見えるその目は、俺に誉めて欲しい、と要求している様だった。

 でも、妥協は許されない……俺はやらなければいけないんだ。


「って言うか、お前なんでそんなしかめっ面なんだ?」


「え? 見えないから」


「は?」


「私最近物凄く目が悪くなったみたい、ちょっと離れると何も見えなくなるんだよね~~」


「メガネをかけろ!」


「えええ! だってだってメガネってダサいじゃん! 可愛くないじゃん!」


「常にしかめっ面しか出来ない方が可愛くねえ!」


「でもでも、この間買ったメガネ黒縁の変なのだよぉ?」


「なんでそんなの買うんだよおお」


「だって総受けの黒縁メガネって最高じゃん!」


「お前がかけてどうするんだ!」


「ああ!」


「ああ! じゃねえよお」

 なんでこんなにバカなんだ? 俺の妹がこんなにバカな筈がない。


「そうか、それは気が付かなかった、あはは」


「はああ……しゃーねえ、明日買いに行くか……」


「わーーい、またお兄ちゃんとお買い物~~」


「わーーいじゃねえよ、お前容姿はなんとかなりそうだけど、問題は中身なんだよなあ……」


「そう? 男の子って容姿が良ければ乗っかって来るんじゃない?」


「乗っかって来るとか言うな! っていうかお前そんな男と付き合うなよ!」


「だから、お兄ちゃん乗っかれば」


「乗っからねえよ!」


「ぶうう」


「なんで不満そうなんだよお、本当勘弁してくれえ」


「でもお、中身なんてそう簡単に変わるもんじゃ」


「だから、焦ってるんだよ、とりあえず容姿をさっさと終わらせて、中身をなんとかしたいんだ」


「ふーーん、大変だねお兄ちゃん♪」


「お前の事だあああ!!」


「あ、そうかああ、あはは」


「くっ……もういい、とりあえず明日はメガネを……いや、コンタクトの方がいいか」


「えーーコンタクトやだあ」


「でもそっちの方が可愛くなるぞ」


「そうかなあ、でも怖いし」


「試しに俺のコンタクト使って見るか?」


「あるの?」


「この間ちゃんと作ったんだけど、それまで使ってたワンデイがまだあったな」


「ワンデイ?」


「ああ、使い捨てコンタクトだよ、あまり使い回しって良くないからな、ワンデイまだ期限切れてないし合わないけど、試しに使うならいいんじゃないかな?」


「うん、じゃあお兄ちゃん入れて」


「あ? ああ、うんまあそうだな」

 俺は使い捨てコンタクトの封を切り、レンズを取り出す。


「ほれ、じゃあ、どうすっかな? とりあえずベットに寝てみ」

 そう言うと妹は俺のベットに仰向けで寝転ぶ。俺はベットの脇で膝をつき、レンズを持ったまま妹に近寄る。うわ、こんな近くで妹の顔見るとか……こいつ意外とまつ毛長いな……。


「お兄ちゃん……痛くしないでね」


「ん? ああ、大丈夫、じゃ行くぞ」


「うん……ああ、お兄ちゃん、そんなに広げないで、そ、そんなに広げたら、怖い、怖いよ、ああ、お兄ちゃんのが近付いてくる、お、大きい……そんな大きいの、入らないよ! だ、ダメ、怖い、ああ、入ってくる、痛い、痛いよお兄ちゃん、ああ、お兄ちゃんのがああ入ってくるううう」



「あほか! 変な実況すんな!!」

 

 コンタクトだからな、コンタクトレンズをいれてるだけだからな! 通報とかすんなよ!


「お兄ちゃん、入れないの?」


「お前が実況すると怖くて入れられない……」


「怖い?」


「怖いわ! BAN、じゃなくて母ちゃん部屋に駆け込んでくるよ!」


「ああ、大丈夫お母さん今日は仕事だから~~だから、誰もいないから……ね? お兄ちゃん……」

 

「もういい……アホなお前にはメガネの方が似合ってる。メガネの方が知的に見えるし」


「もーー! 昨日からアホアホって、私勉強できるもん!」


「ああ、そうだな……」

 そうなんだ、こいつ勉強はそれなりに出来るんだ。顔も悪くない、スタイルは細くて身長低いけど悪くない。

 

 でも……問題は中身なんだよなああ……。



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