第2話 妹再生計画その2
妹をどうにか再生して彼氏を作らせる。
俺に課せられた使命だ。
しかし、妹は手強い……今のままでは間違いなく責任を取らされる……責任……。
俺はノーマルだ、そんな趣味はねえ!
だから妹をなんとしてでも妹を再生してやらねば!
とりあえず敵を知り己を知ればなんとやら、まずは分析から始めよう。
妹は現在高校1年、名前は瀬戸口
「えーーーーだってお兄ちゃんがぶつぶつと私の事を言ってるからついでに」
「それより、なんて格好してるんだ!」
「ん? 兄ちゃんが風呂入れって言うから」
「終わったんなら着替えてこい!」
「待って、今暑いから、折角久しぶりに入ってすぐに汗かいたら勿体ないでしょ?」
「だからってバスタオル1枚で部屋に入って来るな! 勿体ないってまた当分入らない気か! 毎日入れ!」
「ん? いつもの事じゃん、何意識してるのお兄ちゃん? ああ、みたいなら見せてあげようか!?」
「はずすなああああああ、とりあえず部屋に戻って下着を着けてこい!」
「はーーい」
妹はそう言うと俺の部屋から……。
「そこでタオルを外すなああ!」
俺の部屋から出るなりタオルを外し素っ裸で出ていった……いや、後ろ姿だけだぞ、何も見えてないぞ!! 尻以外は見えてない……くっ。
「と、とりあえず敵を尻、いや違う……敵を知り己を知ればなんとやら……」
続けよう……妹は、萌って名前の通り見事なオタクに育った。別に親はオタクにしようと付けた名前じゃないらしいが……そして俺の名前は……
そう、よりによって妹と俺は同じ高校……妹はオタクの事を、特に腐っている事を全く隠さずに夏休みまで過ごしてしまい、クラスの男子から完全にドン引きされ、今に至る……終わってんだろこれ。
しかし! まだチャンスはある! 今は夏休みだ、夏休み明けにガラッと変わる事が出来れば、まだ取り返せる。やれるはず、やらなきゃいけない、何故なら妹のお陰で俺も完全にオタク認定され、クラスの女子からは遠巻きに笑われ初めている。
俺だってな、俺だって……彼女が欲しいんだ! 童貞捨てたいんじゃ!!
だから、やらなくては、今やらないでいつやる? 今でしょ! そう今なんだ、今しかない。妹を再生してやる、やらばければ俺の青春、俺の高校生活は終わってしまうんだ!
「兄ちゃん着てきたよ~~」
妹はそう言って全く色気のない、古びた上下500円位のベージュの下着を着て、下着だけ着て俺の部屋に戻ってくる。
「下着姿で来るんじゃない!!」
「えーーーーだって下着を着てこいって」
「全部だ、下着も含めて全部着ろ!」
「え~~面倒だからいいよこれで」
「よくねええええ!!……はぁ、はぁはぁ~~~~」
「兄ちゃん?」
「とりあえずお前の部屋に行くぞ」
「えーーーー、えっとそれは……やめた方が」
「な、なんでだ!」
「いや……えっと」
そのなんとも言えない表情……お前まさか……。
「ああ、ダメえ、兄ちゃらめえ」
「変な声を出すな!」
妹は俺にしがみつき俺を止めようとする。そこまで俺を部屋に入れたくない理由……それは一つだけだ。
俺は妹を振り切り、妹の部屋の扉を開けた。
「な、ななな、なんじゃこの部屋は!!」
「あはは、1年位ほったらかしにしてたんでぇ」
俺の隣が汚部屋に……ぎゃあああ!
今なんかいた、なんかいたぞ!
「あははじゃねえ! 俺は潔癖症なんだ! ああ、お前最近俺の部屋に居るのって」
「ああ、うん、避難?」
「かたずけろーー!!」
「どこから直せば良いんだよ? 容姿だけじゃねえ、生活習慣からか? 性格からか? マジか……間に合うのか?」
「兄ちゃん?」
「と、とりあえず……片付けよう……俺も手伝うから……」
「うん!」
妹再生計画は、まず部屋の片付けから始まった。
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