第23話

『その力を使って魔王あなたの襲撃の途中で影に潜り込み逃げ切ることに成功しました。はっきり言ってここまでは正直どうでもいいことなのです。魔王あなたのような神に匹敵する存在が現れたとしても私たちからそこまで問題ではありません。1番の問題は神界の掟を神または天使が破ることの方です』

「それのなにが今回の件と関係するんだよ」

勇者は聞き返す。

神はまた淡々と話をする。

『ある1人の天使が私たちの定められし掟を破ったのです。だから、今回わざわざこちらからの干渉を加えて貴方達に動いてもらうのです』

「神よ、話が見えんぞ?我が鈍いだけか?率直に述べよ」

魔王は困惑した顔をしながら神に聞く。

『いいでしょう。簡潔に述べましょう。あのダークロードと名乗る者は天使とコクシンの子供なのです』

「「はぁぁ?」」

魔王と勇者は同じような顔をしながら声を漏らす。

『掟に神界に存ずる者は現世の者と必要以上の干渉と接触を禁止するこれが私たちの掟の一つです。ある1人の天使はその掟を破り関係のない干渉を行った上に子まで育みました。それはその天使を罰する対象となりました。私達神々総出で腹込む天使とそれに魅了されてしまった唯一の生き残りであるコクシンを罰しました。罰は簡単です。コクシンは命を奪い。天使は天使という存在を奪いこの世界から消しました。私達はそれで全てが丸く収まったと思っていました。しかし、それは違いました』

「子は既に生まれていた」

「その子供は生まれすぐ全てを察し、神々から姿を隠し生きてきたということか」

「そして、この世界に復讐するためにまずは世界を乗っ取ろうと考えたわけか」

勇者と魔王は淡々と状況を整理する。

「そして、我々に罰として貴様らの尻拭いをしてこいと」

『そういうことです。彼は本当は存在していなかった生物。そして、存在してはいけないものです。彼がただのコクシンの生き残りであなたを殺しただけなら私達も自然の流れに身を任せ何もする気はありませんでした。ですが、今回の場合は事態が事態です。流石に現世の生物だけで対象しろというのは酷だと思い今回私達が微力ながら力の干渉をすることを決めました』

「そこで俺らの出番ってことか。現世のことだから現世の者たちに解決させたい、だけど、元を正せば神々の責任でもある。この二つが交錯して俺たちを使うことになったのか」

『流石、勇者ですね。物わかりがいい』

「我らは元は現世の者であり、今死者、神が干渉しても許されるということか。その上、我らが現世をやる上の言い訳として我らは現世に住んでいた生物を代表していると言えばいいのか?」

『あなたたちには脱帽です。あなたたち2人の言う通りです。本当であれば私達が考え行動しなければいけません。しかし、それではもし今度このような事態が起きた時生物たちは対象できません。成長の機会を失ってしまい、これからの未来を失うでしょう。お願いします』

神は2人に頭を下げる。

「ふっ、頭を下げる必要なんてねぇのにな。やってやるよあの馬鹿たちに俺らの存在がどれだけデカかったか教えてやる」

勇者は勢いよく意気込む。

「・・・」

魔王は険しそうな顔をしながら俯いて黙っている。

「おい、魔王あいつに同情するな。たしかに、あいつが好んでこんなことになってるわけじゃない。自分の命を否定されているようなものだ。だが、そんなことをいちいち考えていたってしょうがねぇよ。答えはねぇんだからな」

「…うぬ、そうだな。天界で死ぬ程説明して謝るとしよう。悲しき者の末路我はしかと受け取るぞ」

『彼は天界にはいきません。消滅の結果しかありません。彼は半分天使なのです。自分が存在出来なくなれば消滅するだけです。情けは無用です。彼の母なる天使を恨んでください』

「…さっさといくぞ魔王!これが俺たちの罰だ!」

「ああ、分かった。もう迷いはしない。全ての理は無常なり」

『それではお願いします。お二人には既に神の力が宿っています。自由に神の力を使用できます。その力を使ってください。彼を倒す手段はまずそれしかありません』

神はそういうと巨大な白い門をだす。

2人は神にそこを通れば現世に行けると言われた。

神には現世に行く前に自分たちがどういう立場でどういう存在なのか説明をされた。

まず、死者は本当であれば頭の上に天の輪を得るが魔王と勇者はその代わりに今は神という存在の証明の四つの羽が背中に生えていた。ちなみに天使は神もどきみたいな扱いで羽が二つしかない。そして、羽が生え四つになった時天使から神に昇格する。そして、2人は神になったということで現世では基本どんな事もできると説明を受けた。基本無敵らしい。だから、負けるはずがないと太鼓判を押されながら2人は門をくぐり、現世に向かった。



現世では既にダークロードを障壁を閉じ込めて3日が経とうとしていた。

王国は他の国にも連携を頼みかなりの兵を集めた。

作戦の準備は完了している。

あの金髪勇者は自分のスキルは拳から放たれる波動系だから奴に当たるとは思えないとか直前でほざいたが戦士と僧侶、魔族の何人かの知恵を借り形を変えた。

場面は戦士。

(あれはマジで大変だったぜ。思った以上に時間がなかったし、せめて初めて会った日に行ってくれりゃー余裕だったっていうのにな。まず、強力スキルにそんな唯一の弱点があったとな。まあ、いくら強力でも当たらなきゃ意味がねぇしな。むしろ、作戦実行と同時に気づかれるよりはマシだった。そんなんなったらきっとあいつを倒せる可能性はゼロだっただろうな。まあ、あのスキルは形を変えることも他の魔法を重ねることもできたのが不幸中の幸いだった。正直、ガチで倒せるかもしれねぇと作戦の全容を知って奴は思ってるだろうな。…俺たちはいつまでもあいつらに頼ってるわけにはいかねぇ。上で見てろよ〇〇)

戦士が空を見上げながらそんなことを思っていた。

それを空の上からゴットステルスを使って見ていた勇者が魔王以外に気づかれないように声を上げる。

「おい、あいつ!ここまで頑張って俺の名前伏せてたのに遂にゲェロったぞ!ふざけんな!」

「ほー貴様、そんな名前だったのか」

「…そうだよ。なにか悪いかよ。読者には分からないように隠してあるけどな。お前には知られちまったな。ところでお前の名前は?」

「…機会があれば話そう」

(まぁ、上に戻れば調べる手段はいくらでもあるし今はいいか)

そうこうしてるうちに合同連合は動きだす。遂にデモルスピヤに限界が来たのだ。

「お疲れだったな、デモルスピヤよ。我に変わっての務めご苦労であった」

魔王はデモルスピヤに申し訳なさそうな顔しながら見送る。

そして、障壁が終わる時が来た。

ダークロードが障壁を破っても障壁が足されないのだ。

「遂に終わりか。意外と長かったな」

「ぐぐぐ、後は頼んだ」

バリーーン

障壁が全て破られると同時にデモルスピヤは倒れた。そして、その瞬間ダークロードの後頭部に光の矢が迫る。

少し時間を戻して金髪勇者の場面。

「やっぱ俺ってすげぇな。これなら絶対いけるだろ」

既にスキルはセットされいつでも打てるようになっている。タイミングを見るだけの状態になっていた。

(最初らあいつのステータス見て化け物すぎてビビったが今はもう怖くねぇ。あんなとんでもねぇステータスなのに魔王はあの上をいくんだろ。どんだけ強いんだよ。よく勇者でもない前の勇者は倒せたな。まあ、死んだんじゃ意味ねぇけどな)

そんなことを思いながら自分の光を放つ弓矢を見ていた。

直接攻撃では通用しないということで弓矢で対抗することとなった。ゴットホーリーブレイクの力をやの形に収縮して、他のものの魔法で弓を作り、自分の魔法で矢に光の力を与え、矢の速さを光の加速度にまで跳ね上げた。ここまですれば誰でも期待してします。(ゴットホーリーブレイクが通用した場合の話)

そして、その時は来て金髪勇者は矢を放った。一瞬のうちにダークロードの元に辿りつく。寸分狂わずダークロードの後頭部に矢は飛んでいく。

場面は現在に戻る。

ダークロードは自分の後頭部に何かが刺さろうとしていることを感知した。どんな生物でも刺さろうとしていることに気づいたとしてもそこから対象することはできない。もう既に頭に矢が触れ貫こうとしている瞬間なら尚更だ。

だが、ダークロードには生物の反応を超越した神経行動機関があった。

ダークロードは自分の頭に矢が刺さろうとしている事を直感した瞬間にダークロードの最強ともいえる力を発揮した。

“ゼロ秒反射”

反射して行動し終わるのに時間がかからないというダークロードの必勝だ。

“ゼロ秒反射”を使いダークロードは矢を手で掴み取る。

「危ないところだった」

ダークロードは少し焦った表情を浮かべ言葉を発する。

「はっ??なんで??取れるわけないだろ」

金髪勇者の口から大きな本音が漏れる。

しかし、金髪勇者の弓矢の存在を知っているものは全員同じことを思っていた。

何故、あれを取れると。

矢が来る事がわかっていれば対象する方法もあるかもしれないが矢は頭に刺さっているのも同然だった。

それをダークロードは手で掴み取ったのだ。誰から見ても衝撃的だった。そして、全員に絶望を植え付けるのには十分な理由にもなった。その場にいた誰もが勝てないと悟った瞬間だった。いくらゴットホーリーブレイクを信用していながらと言ってあの弓矢が相手に必中することを誰も疑っていなかった。光の速さの矢を不意を突かれて取れるはずがないと。それを平然と取る事ができる化け物を見て誰が彼に勝てると思うか。それこそ無理がある。

ダークロードは金髪勇者の元へ高速移動する。

「お前か矢を放ったのは?」

「あぁぁぁぁ」

金髪勇者はビビって声すら出ない。

「俺の“ゼロ秒反射”の前にこのような攻撃は無駄だ。反応し行動し終えるのに時間は必要ない」

(そんな力持ってるやつに勝てるはずないだろ!!)

金髪勇者は体を震わせて怯える。あまりの絶対的な存在に圧倒される。

そんな時だった。

そこにいる者たちに馴染みのある声が聞こえた。

「待てよ。今度は俺らが相手してやる」

「我らの力に貴様は敵うことはないだろう」

声が聞こえると天から光が舞い落ちる。

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