第16話 Contact of the heart(ふれあい)

向かい側より外国人の男性が一人でこちらへ歩いてくる。何かを探しているようだった。僕はその外国人へ話しかけた。


僕「どうかされましたか?」


外国人「道が分からなくなってしまって。」


僕「どちらへ行かれたいんですか。」


外国人「大浴場の温泉に入りたいんですよね。大浴場の場所はお分かりですか。」


僕「この先をまっすぐ進むとありますよ。」と伝えた。


僕と山田はエレベーターホールへと向かった。エレベーター待ちをしている何人かグループの人たちがいる。


エレベーターホールには、温泉旅館らしく生け花がいけてあり、花鳥風月の日本情緒を感じさせるものだった。僕は、日本という国は本当に素敵な趣があちらこちらにある国なのだなと改めて思い返した。日本人のおもてなしを感じる光景だった。


僕と山田は部屋へ向かいながら、僕は明日は芦ノ湖を遊覧船で回ったり、箱根の関所へ行ったりしようかなと考えていた。


山田「酒井さん、明日なんですが、桃源台から遊覧船に乗って箱根の関所を見学しに行きませんか。」


僕「いいね。山田君。僕は一度箱根の関所へ行ってみたいと思っていたんですよね。今回は折角だから行ってみましょう。歴史に触れる感じですね。」


山田「2Fにお土産販売をしているみたいなんで、ちょっと立ち寄ってみませんか。」


僕「温泉旅館って感じだね。温泉街のお土産っていうと温泉饅頭ですかね。」


山田「酒井さん、もちろんでしょう。箱根だから洗練されたお土産もありそうですね。」


僕「そうだよ。どんな小洒落たものがあるのか楽しみですね。」


山田「そういえば、今日の夕食はビュッフェスタイルみたいです。楽しみですね。デザートも結構充実しているみたいですよ。」


僕「デザートの充実って結構大切ですからね。食事の締めくくりって感じで重要なポイントですよ。」


山田「酒井さんは食後のデザートが重要ですから、旅館を選択する際には参考にさせていただきました。」


僕「山田君、お気遣いをいただきありがとうございます。」


僕と山田は、そんな会話をしながら歩いていると、お土産物の売店に到着した。売店は2Fのロビーにあった。そういえば、先ほど山田がチェックインをしている間に、売店を見たような気がしてきた。ロビーの大きな窓ガラスに映し出される芦ノ湖の景色に見入っていたため、売店にはあまり注意をしていなかった。


山田「売店ではなんだか小洒落たスィーツが結構ありますね。お土産にいいですよね。」


僕「そうだよね。このパッケージも結構センスいいですよね。」


山田「少し外に出て足湯にでもつかりませんか。あちらの席なんかいい感じじゃないですか。」


僕「いいですね。外の夕陽を眺めながら足湯っていうのもおつなものですよね。箱根って感じです。」


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