第6話 うみ

時は過ぎて夏。

ぼくら家族は海に来た。

夏休みだから親もいる。


ぼくはこの日が本当に楽しみだった。

いままで気にも留めてなかったが、まやの水着姿が見られるからだ。


まやが帰ってきた。

いつも学校で着てるようなスク水……ではなく、露出度が若干低めなビキニを着てきた。


「どう?かわいい?」

「うん、すっごくかわいい」

「えへ、よかったぁ!」


満面の笑みを見せるまや。嗚呼ああ、守りたこの笑顔。


「ねぇ、手つなご?」

「やだ?」

「別にやだじゃないけど……」

「じゃ、つなご?」

「う……うん……」


まやと手をつないで歩く。小さい頃はよくしたが、今やると結構恥ずかしい。

それはまやも同じだったらしく、


「ふふ、ちょっとはずかしいね」


と言った。

それもそのはず、周りの他の観光客の目線がすごいのだ。

まあ、何も知らない人から見たら、ごく普通のラブラブカップルにしか見えないからだろうけど。

実際は「兄妹」という名の超えてはいけない壁を越えてしまった二人なのに。

うぅ……陰キャにはこの目線の嵐はつらい。

ま、せっかくの海なんだし。

こんなことでおどおどしてたら時間がもったいない。

浮き輪を借りて、

二人手をつないだまま海にだーーーっしゅ


「わっ!」

「きゃっ!」


……波に足を取られてこけた。






「最近、あの二人ずいぶん仲良いわよね……あなた何か知ってる?」

「いや、何も知らんが」

「もしかして、私たちの血が騒ぎ始めたとか?」

「はは、猫助ならまだあるかもしれないが、まやはまだないだろう」

「どうかしらね……あなたが思ってるより女って早熟なのよ……?」

「うーん……」

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ある日常 アキラ @SPdako

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