第4話 おふろ【R-15】

あれから二週間経った。

ものすごく長かったようにも思えるし、

ものすごく短かったようにも思える。

まやはあれから幸せそうだ。もちろんぼくも幸せだ。

まやはあれから少し、ぼくといる時間が増えた。

たまにケンカもするけど、次の日にはいつもどうりだった。

なにか企んでるんじゃないかと思うくらいだった。



そんなある日の深夜。

ぼくはこたつで寝落ちしていた。

目が覚めて、「そういや風呂入ってないや」って思ってタオルとか持って脱衣所へ向かった。

そして、ぼくは服を脱いで風呂場に入った。

そしたら、そこにはまやがいた。


「あ」


ぼくは寝ぼけていたのか、それともやっぱり生まれつき頭の回転が遅いのか、目の前の状況を理解し、把握するまで時間がかかった。


「あ、あー……ごめん」

「べつにいいけど……」


『べつにいいけど』?いくら兄とはいえ、それはないだろう。いや、むしろ兄なんだからもっといやだろう。


「と……とりあえず、いっしょにはいろ?ひさしぶりに」


まやはいったいなにを言っているんだ?

昔いっしょに風呂に入ったことあるとはいえ、十年前だぞ?


「いいよ……はずかしいし……」

「あたしはもう十分はずかしいから!」

「う……」


後からよくよく考えてみると、これもおかしな理屈だ。

しかし、ぼくはこのままいっしょに入ることにした。

浴槽はバスタブとはいえ、やっぱり狭い。


「そだ、おにいちゃんが下に入ってよ。あたしがその上に入るから。そうすれば、あたしもおにいちゃんも肩まで浸かれるでしょ」


なるほど。たしかにそうだ。ぼくは言われた通りにした。

まやがよりかかってくる。浮力が働いているとはいえ、正直重い。

それにしても大きくなったなぁ……と、今さらのように感じる。

そしたら、ふと目に入ってしまうものがあった。

胸だ。心なしか、ふっくらとしている。まずい。今になって体が反応し始めた。

すると、まやがぼくの異変に気付いたのか、「どこ見てるの?」と言う。

「あ~いや、なんでもない」と返す。「ふ~ん?」とまやは疑う。


「もしかして、あたしのムネ見てた?」

「……」

「やっぱり。あたしのまだまだなのにそんなに気になる?」


まやは、不思議そうに聞く。


「……かわいい」

「へ?」

「かわいい……」


ぼくはいつのまにかそう言っていた。


「え、あ、えーと……あ、ありがと……?」


ぼくとまやはそのまま黙り込んでしまった。

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