第1話 いもうと

「おに~いちゃ~ん!」


部屋の外から声が聞こえる。でも、ねむい。

階段を昇る音が聞こえる。でも、ねむい。

足音はどんどん近づいてくる。でも、やっぱりねむい。

そして、ぼくの部屋の扉が勢いよく開く音がして、


「おにいちゃん!起きてよ!」


と、かわいい女の子の声がぼくを起こそうとする。


「むー……」

「学校に遅刻するよ?」

「いまなんじ……」

「7時!」

「じゃあまだねる」

「だーめ!」

「うにゃぁ……」


しきりにぼくをふとんから追いだそうとするこの娘の名前は、まや。

ぼくの2つ下の妹だ。

もう準備は済んだのか、中学校のセーラー服を着て、髪型はポニーテール。

妹でなければ、いますぐにでも告白して彼女にしたいくらいかわいい。


ぼくの名前は猫助ねこすけ。15歳の高校1年。


ぼくはまやに手を引っ張られながら階段を降りる。

リビングには誰もいない。

親は共働きだ。ある同じ職場で出会って、結婚して、すぐに仕事を辞めてそれぞれ別の仕事に就いたらしい。まあ、今はそんなことどうでもいいけど。


ぼくはまやの作った朝ごはんを食べて、

学校の準備をして、

Discordディスコードの友達たちに「学校行ってくる」とだけ送って、

「いてら」とか「itrいてら」とか確認したら、

それぞれの学校へと向かう……




おっと、鍵をかけるのを忘れてた。

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