第3の試練「ジャックと豆の木」(2)

 雲まで伸びている、大きな豆の木を目にし、呆然としているラビーに気づいたアリスは、ラビーに気づかれないように背後からそっと近寄り、ワッと脅かし、ビックリして振り向くラビー。

「ビックリした、脅かさないでよねー、お姉ちゃん」

「だって、この世の終わりのような顔してるから……」

「私、そんな顔してた!?」

「うん、してた、こんな顔」


 アリスは、この世の終わりの顔をしてみせると。ラビー大笑い。その顔はまるで変顔。

 すると、今度は真剣な表情を見せるアリス。

「そろそろ、行きますか!? 大丈夫、私がついているじゃないの……。それとも、私じゃ頼りない!? 高い所、ダメなんでしょう!?」

「えっ!? なんでそのこと知ってるの?」

「なんでって、私、これでもあなたのお姉さんですけど。もちろん、あんなことや、こんなことも知ってるし」

「えっ!? 何!? あんなことって!?」

 アリスはその問いには答えず。木登りが得意なアリスは、スイスイと豆の木を登って行く。そんなアリスをラビーは頭上を見上げ。

「ねぇー! お姉ちゃん! あんなことって、何!?」

 何も答えず、登って行くアリス。100メートルくらい登ると。大きな、大きな葉っぱにアリスは座り、スマホ取り出し、フィールドの外にいるアリスお姉ちゃんに連絡を取り、100メートルくらいのロープを転送してと、お願いした。

 すると、突然アリスのスマホ画面にアリスの両親が手を振っている、頑張れと応援している。なんか複雑な気持ちになるアリス。こうなったのも、もとはといえば全て自分のせい、自分でなんとかする、と言っても無力な私。情けなくなってくる、でもこんな私にも心強い味方がいる。俄然ファイト湧き。必ずこれに決着をつけるとけつい。


 しばらくして、ロープが転送され。アリスは豆の木の枝にロープを括り付け、ロープを下へたらし、ロープを器用に使い、するすると降りてきた。

 地上では、ラビーのスマホにもアリスの両親が励ましの声が届き、うちの娘が迷惑をかけして申し訳ないと、謝っていたが。私も娘なんですけど、と言い返し。お姉ちゃんの世界、私たちの世界、闇の女王なんかに好きか手には絶対にさせない、と思うラビー。しかし、やはり高い所はと思うが。

「ねぇ、お姉ちゃん。あんなことって、何!?」

 その問いにはどうしても答えないアリスは、また変顔をし、笑いのツボに入ったのか、笑いまくっているラビー。


 そんな中、アリスはラビーの身体能力を信じている。ラビーにロープの使い方を教え、なるべく下は見ないようにと言い。アリスは豆の木を登り始め、5メートル登り、下を見ると。

 流石、運動神経のいいラビーは、ローブを器用に使いこなし登って来る。しかし、「あんなこと」が気になり、どんどん登って来る。「あんなこと」を聞きだす為に登って来る。

「ねぇー! お姉ちゃんってば、あんなことってなんなの!? 教えてよー!」


 その質問に絶対に答えないアリス。


 ラビーは100メートル登りきると。そこには、アリスはいない。

 その時、新たなロープが頭上から垂れ下がり。ラビーはまた登り、また新たなロープが頭上から垂れ下がり、また登り、この繰り返しで登り。ラビーは豆の木を登り始めてどのくらい経ったのか、ふと辺りの景色を見てしまった。

 その時、ラビーのすぐ近くに、大きな鷲が現れ。ウサギと勘違いしているのか、ラビーに襲いかかってきた。

 あの技は使えない、戦う道具もない、あるのはロープだけ。ラビーはロープを引き上げ、ロープの先端から少し離れたところを持ち、振りまして反撃開始。しかし、鷲がしつこく襲いてかかって来る。


 そんなことになっているとは知らないアリスのスマホにメールが。

「鷲、助けて」


 アリスは慌ててロープを掴み、下に下りて行き、下を見ると。ラビーはロープを振り回し、鷲と戦かっている。

 すると、アリスは何を思ったのか、近くの大きな葉っぱ上に立ち、鷲に向かって大声で何か叫び。鷲はその声に反応し、アリスに向かって来た。

 ラビーは頭上を見上げ。アリスはもの凄い勢いで、豆の木を登り始めた。その時、急いだせいで手が滑り、ロープを掴み損ね、アリスはそのまま落下した。

 ラビー目はもの凄く良く、すぐに気づき、葉っぱの先端部分に行き、両手を差し出し、落下するアリスを両腕で抱え込んだ、と思いきや、2人は消え、あっけにとられる鷲。2人は何処へ。

 この時、大きな葉っぱがトランポリンように跳ね上がり、2人はあの雲の上に浮いている巨人の島へ飛ばされ。アリスを抱えたままラビーは、巨人の島へ着地し。華麗な着地を決めたラビーの点数は、満点。流石、強靭な足腰とバネをもつラビー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る