アリスの『白雪姫』(3)
鏡の女王の思惑通りにお城を出て行った白雪姫。鏡の女王は、いまこそ100年分の恨みを晴らすために、あの王女の血を引く白雪姫を亡き者にしょうと企んでいる。
100年前にこの国を我が物にしょうと企む者がいた。その者は自分の野心が叶わないと悟り、鏡に自ら魔法をかけ鏡にとりつき永遠の命を手に入れ、鏡の中でしか生きられない、まさに鏡の女王。王女はこの鏡を破壊するとことができず。そこで魔法使いによって、鏡を封印することに成功した。この時、永久に封印は解かれないと信じられていた。しかし、鏡を封印し100年経ち、封印の力が弱くなったのかわからないが、鏡の女王は100年の眠りから目を覚ました。
鏡の女王は、鏡の力で王妃を老婆に変身させ、町に繰り出し、狩人を操り、小人が住む森に向かわせた。
ところが、森の動物たちの数の多さに、恐れをなし、我を取戻し狩人は逃げて行った。 どうやら、鏡の女王の目にしないと操りの効力が薄れる。そのことに気づいた鏡の女王は悔しがり。今度は、毒リンゴを使うことを思いつき。王女には心の隙がある、それを利用することにし。これならきっとうまくいくと、不敵の笑みを浮かべる鏡の女王。
老婆に変身した王妃は、小人が住む森に行き。小人の家に着くと、小人の気配がないかを確認し、玄関のドアをノックした。
「お嬢ちゃん、悲しまなくてもいいんだよ。ここに1口かじればどんな願いでも叶うリンゴがある。どうかね? お嬢ちゃん」
その優しい声に、藁にもすがる思いの白雪姫はドアを開け。
「本当に願いが叶うのですか?」
「お嬢ちゃんの願いとは何かね?」
「私願いは、元の優しいお母さんに戻って欲しいことです……」
涙を泣かす白雪姫。王妃はリンゴを1つ白雪姫に渡し。白雪姫はリンゴを1口かじると、突然白雪姫はその場に倒れ、王妃はその場を走り去り。その数分後、少し留守にすると言って出て行った小人が1人帰って来た。
玄関ドア前には白雪姫が倒れている。小人は白雪姫の名を呼ぶが返事がない、心臓の音も聞こえず、悲しみ泣きだし。そこへ森の動物たちが集まり。しばらくして、残りの小人たちが帰って来ると。突然の不幸に泣き叫ぶ小人たち、白雪姫のそばには毒リンゴが転がっていた。
その後、白雪姫はガラスの棺に入れられ、7人の小人たちは悲しみに打ちひしがれ。
一方、鏡の女王は、100年前の恨みを遂げ、鼻高々に笑っていた。
ガラスの棺の周りを囲む7人の小人たちを森の動物たちも見守っている。
その頃、この国を留守にしていた王は、隣の国の王子に会うため隣の国のお城に来ていた。
この国の王子の評判は良く、好印象を受けた王は、王子と話しが弾み。王子は、白雪姫が好きな森を拝見したいと申し出ると。王子は馬にまたがり、心弾ませ、急ぎ小人が住む森に行き。しばらくすると、森の奥からの鳴き声が聞こえ、王子は気になり行ってみると。そこには、美しい女性がガラスの棺に。呆然と立ち尽くす王子だが、小人たちから事情を聞き、王子は白雪姫を思わず抱き上げた。
すると、白雪姫の口からリンゴのかけらが吐き出され。白雪姫は眠りから覚めたかのように目を覚まし、いきなり王子に向かって、急いでお城へ連れて行って欲しいと言う。王子は言われるがまま、白雪姫を馬に乗せ一緒にお城へ向かった。7人の小人たちは、この光景に呆気に取られ。急ぐ白雪姫と王子。
そんなことになっているとは知らない鏡の女王。王妃は既に自分の部屋に戻っていた。
白雪姫たちは城に着くと。王妃の間に行かず、開かずの間に行き、ドアの鍵が外れているのを見て、白雪姫はドアを開け、ゆっくりと部屋に入り、木箱を確認すると空。白雪姫は急ぎ王妃の間に向かい。その頃、鏡の女王は鏡の中で至福の時を過ごしていた。
白雪姫と王子は、王妃の間の扉の前に来ると、家来たちはいない。白雪姫はゆっくりと扉を開けると、部屋の奥から笑い声が聞こえ、聞いたこともない邪悪のような笑い声。
2人は気づかれないように腰を落とし、そうっとベッドの陰に隠れた。
すると、2人は驚いた。王妃の目の前にある鏡に邪悪の顔をした女性が映っている。
「これでいまいましいあの王女はいない。この王妃を操って正解だった。これでやっと念願だったこの国はわらわのもの、鏡の女王のものだ!」
鼻高々に笑う鏡の女王。白雪姫はベッドの陰で聞いていたが、この笑い声に我慢の限界、思わず。
「違う! この国はあなたのものじゃない!」
「誰だ!? そこにいるのは!?」
「この声を忘れたの? 鏡の女王」
白雪姫は突然立ち上がり、姿を現し。その姿に驚く鏡の女王。
「……お前は白雪姫。そんなバカな、何故生きている!?」
「私は、あなたの作った毒リンゴなんかに負けない!」
「何!? なんだと!? 小生意気な小娘が。わらわにはむかうきか!? この鏡、壊せるものなら壊してみろ!」
強気の姿勢の鏡の女王。
(さー、わらわの前に来るんだ、白雪姫……。もっと近づくんだ)
ゆっくりと鏡に近づく白雪姫は、王子に手出し無用と言い。いざとなったら私が盾になると言った王子。
「来たな白雪姫。王妃のように操ってやる」
「……私を操る!? 私を操るって言いましたね!?」
あの優しい白雪姫が、とうとう堪忍袋の緒が切れた。
「やれるものならやってみなさい! あなたなんかに私は負けない! やれるものならやってみなさい!」
渾身の想いで啖呵を切った白雪姫。鏡の女王は白雪姫を睨み。
「お望み通りお前をおの操ってやる!」
ところが、急に鏡の女王がわめきだし。
「何故だ。どうして操つれない。そんなバカな、あいつに心の隙がないっていうのか!? それに、なんだあの光は!? やめろ、そんな目でわらわを見るな! やめてくれー! 鏡が、鏡が割れる!」
白雪姫の負けない心、その目は輝き、正義のオーラをまとい。
すると、鏡にひびが入り、鏡の女王は叫びながら、鏡は粉々砕け散り、跡形もなく消えた。
100年前、誰も壊すことができなかった鏡。封印するしか手立てがなく。心優しき、正義の心が打ち勝った。
この後、王妃も元に戻り、抱き合う母と娘。そして、今回の件で王子は白雪姫を気に入り、結婚をすることになり。7人の小人たちも喜び、森の動物たちも喜んだ。
おしまい。
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