闇の女王の企み

闇の女王の企み(1)

 アリスとラビーは久しぶりの我が家、何かそんな雰囲気。玄関ドアを開け、やはり雰囲気が違う、匂いも。

 2人はアリスの部屋に行くと。ベッドに机、あの時のまま。アリスは、机の1番下の引き出しを開け。本が3冊、その下にノートが、ない。どいうことなのか。あるはずのノートがなくなっている。確かにここに閉まっていたはず、焦り出すアリス。

 2人して、全ての引き出しを開け確かめた、どこにもない。あのノートがなくなっている。アリスはラビーに、ここにいてと言い。アリスは急いで母親の所に行くと、両親の笑い声が聞こえ。

「お母さん、私のノートしらない!? ノートがなくなっているの!」

 焦るアリス。

「えっ!? あのノートがないの!?」

「ないから聞いてるんでしょう!?」


 その時、AIアリスおばあちゃんが壁に映し出され。

「アリス、落ち着いて。はい、深呼吸して」

 アリス深呼吸し、少し落ち着いた。

「おばあちゃん、どうしょう……!?」

「大丈夫。打つ手はある……。闇の女王、聞いてるんでしょう!? この会話。私、絶対に負けないからね! 絶対に捕まえてやるから、覚悟しなさい!」

 大きな声で啖呵を切ったAIアリスおばあちゃん、勇ましい態度。


 アリスはこの状況が把握できない。

「おばあちゃん、どういうこと?」

「闇の女王が1番恐れていることは、アリスがあの小説を完結すること。おそらく、あのノートは闇の女王の手にあるはず」

 もしかしたら、タイムマシンの誤作動は闇の女王の仕業と思っている、AIアリスおばあちゃん。


 姿を消していた闇の女王は、まるで透明人間のようにずっとアリスを監視していた。以前行方が分からないのが、あの小説に出でくるアリス、何処にいるのか。


 アリスは考えた。7歳の頃にタイムトラベルして、あの小説を完結すれば問題は解決する。ただ、ラビーとの思い出が消える。それは非常に辛いことだが致し方ない。闇の女王に気づかれないように、アリスは今考えたことをAIアリスおばあちゃんに、スマホでメールした。

 すると、アリスのスマホにAIアリスおばあちゃんの返信メールが届き。メールには、アリスの考えと一緒だと書いてあり。ただ、この作戦を実行するには慎重にしないと、闇の女王に阻止される可能性がある。そうなると厄介なことになる。闇の女王の能力がかなりUPしている。こちらのレーダーに映らない。

 作戦決行日はメールで連絡する。大丈夫、必ず成功する。メールにはそう書かれ、アリスはちょっと安心した。


 アリスはAIアリスおばあちゃんの指示で、予備のスマホを両親に渡し、ラビーを残した自分の部屋に行くと。ちからしていた部屋は片付いている。

 ラビーはメールを確認し、さっきの出来事を知り、複雑な気持ちだった。しかし、小説の中に戻ればここでの記憶は消える。致し方ないと思いながら納得したラビー。

 その時、アリスは机の上の時計を見ると、午前11時30分。アリスはあることを思い出し、2人は研究所に行き。アリスは机の上に並べてある何かを掴み、ビニール袋に入れ、両親にお昼は私が用意するからと言い。ラビーに両親の相手をしていてと告げ、アリスは自宅へ戻り。両親とラビーは、アリスの料理を楽しみに待つことに。


 アリスはキッチンに行くと。あの時代のキッチンではないけど、何とかなりそう。メニューは決めている。コンロに火を点け、フライパンを用意し、まだぎこちない包丁さばきだが手順は大丈夫、問題ない。


 調理開始から30分経ち。両親とラビーは自宅に戻り。ダイニングテーブルに行き、椅子に座って、何やら話をしている。

 すると、料理ができあがり。皿に盛りつけた料理がテーブルに並べられ。その料理を見て、真っ先に喜んでいるのはラビー。1番食べたかった、ナポリタン。あの時、重箱に入っていたナポリタンは、アリスがお昼に全部食べていた。


 初めて見るナポリタンに、両親は美味しそうな匂いだと言い。4人は食べ始めた。

 すると、両親は美味しいと絶賛し、ラビーも同じ。

 サラダもスープも美味しくいただき。母親は感心し。父親は驚いていた。

 食事が終わり、父親は食後のコーヒーを飲んでいる。あとの3人は後片づけをしている、何か楽しそう。

 母親は、娘が1人増えたと喜んでいる。ウサギの時からそう思っていた。このまま4人で暮らす、そんな光景が浮かんだが、やはりあの場所へ戻らないと、少し寂し気な母親だった。


 後片付けが終わると。母親がアリスに、その服装は未来で流行っているのと聞かれ。アリスもラビーもすっかり忘れていた、サバイバル用の服のままだった。

 すると、母親が紙袋を手に持ち、トランクにこんな服が入っていたと言い。紙袋から服を取り出すと、洋服とズボンとスカートが5着分入っていた。

 アリスとラビーは、その中から好きな物を選び、着替えることに。


 父親はタイムマシンの所に行き。AIアリスおばあちゃんに、あの可動式の建物を作りたいと相談していた。


 着替え終わったアリスとラビーは、服は色違いのお揃いで、ズボンはジーパン。母親はその姿を見てお似合いだと言っていた。


 この夜、久しぶりの母親の手料理を食べたアリス。ラビーはこの日が来るとは思っていなかったと思いながら、美味しそうに食べていた。

 食事が終わると3人で後片付けをし。この後、4人はソファーに座り。いろんなことを話し、盛り上がっていた。

 そしてこの夜、4人が寝静まり。アリスのベッドには、アリスとラビーが一緒に寝ていた。


 その時、突然暗闇の中、不穏な動きが。

 姿を見せない闇の女王が焦りを見せ、AIアリスおばあちゃんに動揺していた。

「ルーク、あの作戦を今夜実行する。あの科学とやらが気に入らない。それに、ラビー王女が元の姿に戻ったのは誤算だった。あの技は厄介だ。しかし、今度はそうはいかない。この屈辱は必ずはらす。アリス小説の中のアリス、ラビー、今度は絶対に負けない。必ず石にしてやるからな!」

 不敵な笑みを浮かべ、姿が見えないが、やはり何かを企んでいる闇の女王。

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