アリスとアリス(2)
本日、午前10時より、タイムマシンの試運転が開始される。タイムトラベルは、5分先の未来。
朝から、タイムマシンのチェックに余念がない、担当者のアリス。システム制御室では、父親が最終確認を行っていた。
タイムマシンの起動スイッチは、システム制御室にもあり。試運転の時は、無人でタイムトラベルさせる為、起動スイッチをオンにする場合はシステム制御室で行う。
アリスも最終確認の為、タイムマシンの中にある懐中時計に狂いが無いか、自分の懐中時計で確認している。ラビーはその様子をタイムマシンの外から見ていた。
タイムマシンのチェックは全て終わり。残すは、出入口のドアだけ。油圧式で上に上がるタイプ。ドアを閉めると、ドアの近くにあるドアランプが消え。今、ドアが開いているので、ドアランプは点灯している。閉めると、ドアランプは消え。もう一度確認。
ドアを開けると。突然ラビーがタイムマシンの中入り、何かを取ろうとする仕草をし。アリスは自分の懐中時計をタイム制御装置ボードの上に置きっぱなしにしていたことを思い出し。アリスはタイムマシンの中入り、ラビーにお礼を言った。
ラビーは知っている。アリスから聞き、あれは大切な懐中時計だと。
8歳の時、父親からの誕生日プレゼント。お揃いの懐中時計で父親の手作り。アリスの名前が入り、生年月日まで入っている。この世で1つしかない、オリジナル時計。
もし、試運転に失敗したら、時空の彼方へ飛ばされ、タイムマシンが消滅することもある。
アリスは懐中時計を見ると、午前9時35分。アリスはもう1つある事を忘れていた。
アリスは、念の為に室内灯の確認をしている。ドアを内側から閉め。室内灯のランプを確認しOK。
すると、アリスは何を思ったのか、行先を設定し始めた。それも67年後の未来。アリスもうすぐ13歳。と言うことはアリスが80歳になる。
実は、タイムマシンが完成したら、アリスは80歳の自分を見て見たいと思っていた。後悔のない人生を送っているか。
そのことを隣に座っているラビーに話すと。首をかしげ。そこ気になるかな。お姉ちゃんの未来はこれからでしょう。でも、ちょっとは気になるか。そう思ったラビー。
アリスは、行先を0に戻す為、リセットボタンを押した。
すると、行き先表示がリセットされない。その時、微かに聞こえる金属音。この音は。その音に気を取られるアリス。
ラビーが何かに気づき、アリスに何かを知らせようと首で合図をしている。前を見てよと。
それに気いたアリスは、タイム制御装置を見ると起動確認ランプの緑色が点灯。起動スイッチがオンになっている。しかし、アリスは慌てず起動停止ボタンを押した。
ところが、緑色ランプは点灯したまま。金属音はまだ聞える。
その時、タイムマシンは超高速回転し、タイムトラベルのカウントダウンが始まっていた。カウントダウンの表示は1分15秒を差し。1分15秒後にはタイムトラベルする。
しかし、アリスは慌てない。こんな時は、非常用停止ボタンを押せば電源が切れる。
アリスは非常用停止ボタン押した。
焦り出すアリス。電源が切れない。これはいったいどういう事なのか。
ドアは完全ロックされ、起動中には開かない。点検はした。起動と停止のチェックもした。焦るアリス。大声で叫んでも、この叫びは聞こえない。超高速回転の金属音が響かないように、室内は防音設計してある。
この状況でタイムマシンを停止させるには、タイムマシンを支える土台についている、非常用停止ボタンを押すか、或いはバッテリーを外すか。それができるのは父親だけ。
その頃、父親は自宅で休憩中。
父親はアリスに言ってある、早めに休憩を取ると。いつもなら休憩時間は午前10時から午前10時30分まで。今日はタイムマシンの試運転という事で、休憩時間は、午前9時30分から午前9時50分まで。早めの休憩をアリスは忘れていた。
父親は、アリスが休憩を取りに来ないので気になり研究所へ向かった。
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