アリスとアリス
アリスとアリス(1)
予定では、タイムマシンの試運転はアリスの13歳の誕生日の2日前。しかし、試運転予定が10日早まり。1週間後には試運転が開始される。
アリスは部屋の窓を開けると、春を思わせる風の匂いがする。外気温は23度。春まであともう少し。今日は特別暖かい。芝生も青々としている。
ラビーに出会ってから、アリスはすっかりお姉さん気取り。いや、もうお姉さん。ここ1年でずいぶん成長したようなアリス。
本日、研究所はお休み。
アリスは芝生の上でラビーと遊ぶつもりでいた。アリスとラビーは、庭で遊ぶのはこれが初めて。玄関先に2人は立ち。ちなみに、ラビーは1人と数えます。
アリスが芝生の上に行くと。いつもならアリスの後ろをついてくるラビーだが、玄関先から動かない。
アリスはラビーにおいでと声をかけるが動かず。首を横に振り、まるで「そっちにいけないの」、と言っているように見える。
もしかしたら、あの時、捨てられた記憶がトラウマになり動けない。アリスはそう思い。
「ラビー、私が見える!? 私はあなたを捨てたりはしない。あなたには私がいる。そうでしょう!? ラビー! おいで!」
その声がラビーに届き。ラビーはアリスの元へ走り出し。手を差しのばしたアリスの胸に飛び込むラビー。
この2人、そこらじゅうを駆け廻り。芝生の上でごろりと。2人して青空を見ていた。
すると、突然ラビーが走り出し。あの穴のあった場所に行って、穴を見ている。塞いではいなかった。
アリスもその場所へ。
「……この穴、塞いだ方がいい?」
ラビーは首を横に振り。この穴、この穴がなかったらお姉ちゃんに会えなかった。私はもう大丈夫、と言っているように思えたアリス。その光景を2階の窓から見ていた母親。
仲のいい姉妹。絆が深まった。
試運転の前日になり。アリスはタイムマシンの起動チェックをしている。その様子を見ているラビー。
すると、アリスはラビーに、タイムマシンの説明を始めた。
まず、起動する為のバッテリーを確認。どの時代に行ってもこれで大丈夫。滞在時間は15分。しかし、電源があれば充電できる。
タイムマシンは4人に乗りで、前2席、後2席。シートベルト付。車のようにダッシュボードみたいな感じで、タイム制御装置ボードにはタイムパネルが埋め込まれ。現在の西暦と月日、時間がデジタル表示され。その下には、どの時代に行きたいのか、西暦と月日、時間を入力するボタンがついてある。
タイム制御装置ボードの1番右端には、起動スイッチボタンとその下には赤色の停止ボタンがあり。起動スイッチボタンがオンになると、起動スイッチボタンの左側にある、緑のランプが点灯し。タイムトラベルが開始すると、その隣の青のランプが点灯する。もし、誤作動を起こし、停止できなくなった場合は、タイム制御装置ボードの右横にある非常停止ボタン押す。ちなみに、非常停止ボタンは、制御室とタイムマシンを支える土台にもついてある。
ここで、気をつけないといけないことは、直径2.5メートルの球体が突然現れるので、タイムトラベル場所を確保しないと、そこにある物は全て壊れる。ちなみに、海や湖に着水しても、土台の横から浮き輪が出てくるので大丈夫。
タイムトラベル中は、タイムマシンの中では時が止まるので、それを確認する為の懐中時計が、タイム制御装置ボードの1番左端に埋め込まれ。取り外す事もできる。
例えば、午前10時にタイムトラベルし。その5分後にタイムマシンが現れるとする。懐中時計は、午前10時のままから動き出す。この5分遅れを試運転で確かめる。当然だが、タイムマシンが5分後に現れなかったら失敗。
タイムマシンの出入口は1箇所。ドアを閉めると密封状態になるので、酸素を確保する必要がある。以上、説明が終わった。
いよいよ、明日はタイムマシンの試運転を開始する。
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