アリスと新しい生活(4)
お昼も食べずに、アリスことで両親が話し合いを始め。30分経過。2人とも同意見で納得し。アリスの好きなようにさせると決めた。
しかし、一見納得はしてみたものの、母親は小説家になるべきだと、その才能を伸ばすべきだと、思っていた。
少し遅いお昼になり。その頃アリスは、自分の部屋にいた。泣き疲れ、ベッドに倒れるように眠っている。
母親は様子を見に2階へ。ドアをノックすると返事はなく。ドアを開けると、眠っているアリスを見て、毛布を1枚掛け。手に持っている、ノートを机の上に置き。何か探している。
すると、机の上に何も書いていない1枚の紙を見つけ。ペンを握り、何か書いている。 書き終えると、母親は部屋を出た。
しばらくすると、アリスは目を覚まし。毛布に気づき。机の上にある時計を見た。
すると、ノートに気づき。母親の手紙が。手に取り、読んだ。
アリスへ。
お父さんも、お母さんも、アリスが決めたことならそれを応援する。アリスの好きなようにしなさい。
7歳なのに、何処か大人の雰囲気。しかし、7歳。よく考えて決めなさい。
あなたには、小説家の才能がある。きっと有名な小説家になる。お母さんも、お父さんも認めています。
サンドイッチとミルクティーを用意しています。母より。
アリスは決断をした。科学者になるのか、小説家になるのか。しばらくして、1階に行くと。母親はソファーに座っている。
母親はアリスに気づき、何も言わず、サンドイッチとミルクティーを持ってきた。
アリスは、ダイニングテーブルにつき。一言、母親に、「ごめんなさい」と言った。
翌日。
朝食をいつものように3人一緒で食べている。無言の食事だったが、アリスは晴れ晴れとした気持ちだった。
いつものように、アリスは後片付けを手伝い。しばらくして、両親がソファーに座り、紅茶を飲んでいる。
すると、アリスは両親の目の前に立ち。真剣な表情で。
「お父さん。お母さん。私、決めました。科学者になります。お父さんとの約束、必ず守ります」
アリスが母親に言った、一言、「ごめんなさい」は、このことだった。
アリスは父親に約束した。タイムマシンを2人で完成させると。この壮大な研究、先の見えない研究だが、諦めないと。
母親は、これはすり替えられた夢だと思った。
この日を境に、友達と遊ぶのをやめ。朝から夕方まで、研究所に入りびたり。科学者に必要な知識を得る為に、片手に辞書持ち、難しい本を読み。ときには、父親の手伝いをして、あっという間に半年が経っていた。
そして、母親の気持ちと裏腹なアリス。科学者を決定づける、事が起きた。
アリス8歳になる誕生日の前日。
アリスは最近、午後から時々研究所に行くことがある。午前中は、1階のソファーに座り。その前にある、テーブルに紙と絵具を用意し。絵を描くことがある。絵で小説のアイディアを考える癖あり、その癖が科学者に必要な発想にも生かされていた。
母親はその絵を見て。
「アリス、相変わらず絵上手ね……。その星の絵、綺麗ね」
「星!? 違うよ、お母さん……。これは、素粒子の集合体」
「素粒子!? 集合体ってなんなの? どう見ても星よね!?」
その時、父親が休憩を取りに。母親が父親に気づき。
「おとうさん。アリスの絵、ちょっと見てくれる!?」
どれどれと、言われるがまま見ると。
「……星の絵か……」
母親は、やっぱり星の絵だよねと。
アリスは立ち上がり。
「もー、お父さんまで、何言ってるの!? これは、素粒子の集合体!」
少し、不機嫌なアリス。
「えっ!? アリス、今、なって言った!?」
「……素粒子の集合体って、言ったけど」
すると、父親はその絵に描かれている絵を説明しろと言った。
アリスは説明した。
真ん中に、素粒子の集合体があって、右側には恐竜。左側には未来都市。どうやら、夢を見たらしく、タイムマシンに乗った夢を。
急に真剣に表情で鳥肌状態の父親。
「……そうか、そう言うことか、その手があるのか!?」
父親はテーブルにあった紙に、もの凄い勢いで数式のようなものを書き始め。アリスも母親も呆然として見ている。
30分くらい経ち。用意していた紙、数十枚を全て使い切った父親は。
「いける、これならいける。よくやった、アリス。大した娘だ。科学者の娘。よくやった!」
父親は大喜び。そこらじゅうを走りまくり、アリスを抱きかかえて嬉し涙を。どうやら、タイムマシンを作るヒントを得たようだ。
初めて褒められたと言ってもいいぐらいアリスには、褒められた記憶がない。その光景を見ている母親は、もう小説家にはならないと思った。
次の日、あの集合写真を撮った。
タイムマシンの実現が可能と判断した父親は、今後のことを考え、資金を増やす為に、今ある土地を半分売り。市場の100倍の値段で土地が売れ、大金が手に入り。研究所を建て替え、倍の広さになり。一生分、3人食べていくお金は確保し。資金は十分になった。
しかし、それと引き換えに、小さな森はなくなり。緑いっぱいの芝生に覆われていた景色もなくなり。遊び場やブランコもなくなり。家の周辺には、2メートルの高さの塀で囲み。少しの花畑と少しの芝生が残った。
母親は寂しい気持ちだった。友人達と元気よく庭で遊ぶアリス。アリスと草花を育てりする事がなくなった。しかし、あの2人が毎日笑顔でいる、それならいい。見守ることにした。
それから、4年が経ち。この4年間は、ひたすら科学者としての勉強の日々を送ったアリス。これで、本当に科学者の道を進むことになった。科学者になる気持ちは、変わらなかった。
アリスが12歳になる前に、何度か母親は質問をした。本当にこれでいいのか。
これからは、正式に父親の助手として働く、アリスの新しい生活が始まった。
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