1ー44★薬師としての登録


俺はアンテロと一緒に朝食を食べた後、一息ついてアンテロと今日の打ち合わせをした後、職業登録所に赴くことにした。

時間的にはまだ早いのかなとも思い少し不安ではあったのだが、久しぶりの早朝だし散歩を兼ねるのも良いと思う。

途中、市場によったりしたのだが思いの外人通りがあることに驚いた。

多少の時間も過ぎたので、これなら登録所も開いているのかなと思い行ってみると、ちょうどミンネさんが出勤する時間と重なったようだ。


『おはようござます。ナカノ様、アンテロ様、もう間もなく開けますので暫しお待ちください』


そう言いながら、ミンネさんは先に登録所の方へ入って行った。

およそ10分ほどたつと、ガッチリしたドワーフの男の人が中から出てきて俺とアンテロを中に通してくれる。

恐らく、ミンネさんが話をわざわざ通してくれたのだろう。

弱冠、悪いなと思いながら俺は登録所の中にアンテロと入って行った。


『まだ少しバタバタしていまして…すいません…』


受付は時間が早いこともありミンネさんしかいない。

ミンネさんは頭を下げながら謝ってくる。


『ミンネさん、謝らないでください。こちらこそ、朝早くから押し掛けるような真似になってしまい申し訳ございません』

『大丈夫ですよ。それで今日はどう言ったご用件でしょうか?』


今日はアンテロの用件で来たのでアンテロに話すように合図を送った。


『はい、実は先日お話しした職業の方ですが、ナカノ様とお話ししてギルドに所属したいと思いまして』

『なるほど、確か職業は薬師くすしでしたよね?』

『はい、そうです』

『では先ずはカードの方を確認させていただきます。カードの登録は左手ですか?』

『はい、お見せすれば宜しいですか?』

『朝は時間が経つと混み出すことも多いので、個室の方が宜しければ、移動しますがどうしますか?』


ということで先ずはカードの相談は前回同様に移動してということになった。



『それでは改めましてカードの確認をさせていただきます』

『はい、それではこちらです』

『ありがとうございます。確かに薬師くすしがありますね。でも…あれ?この状態だと多分、他の職業もあると思うんですが… 』

『それは…もしかしたら修練士ですか?』

『えーっと…少々お待ちください…』


ミンネさんがアンテロの左手を両手で握り目を瞑っている。

多分、聞いても教えてくれない気がするので俺は横で黙って見ていようと思う。


『はい、そうですね。確かに修練士です。でも紹介はしなくていいのですか?修練士を受けると属性も増えるはずなんですけど…』

『ですよね、近い将来として魔法も使えるようになるかもしれないというのも聞きました』

『はい!必ずとは言えないですけど、聖属性の魔法という可能性はあります』


(聖属性ってレアなんじゃないのか…可能性を潰す必要は…)


『いいんです。もう修道院を辞めた身なので…』

『分かりました。では薬師くすしを確認させていただきましたので、製薬ギルドの手続きをさせていただきます。後、アイテムボックスとお財布はどうしますか?』


ここでアンテロはアイテムボックスとお財布というのが分からなかったのだろう。

チラッと俺の方を見た。


『はい、両方お願いします。アンテロには後で説明するね』

『両方ですね。ありがとうございます。製薬ギルドの方ですが本日から用がありますか?もし今日から活動をしたい場合や説明を聞きたいのであれば、本日は早いので製薬ギルドの方に直接持ち込める書類を用意しますがどうしますか?』

『あーはい、ではアンテロに持たせてください』


確か俺の時は、翌日になってからということだと思ったが、早起きは三文の得というやつなのかもしれない。

そんな感じで、アンテロの製薬ギルドの手続きは順調に進んでいった。

その代わりに俺の方は今日もアイテム運びの仕事の方は休みとなったわけだが…

だがこの調子であればアンテロを製薬ギルドに連れていったあとは、午後から討伐の方は大丈夫そうな気がしている。

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