第177話 魔法戦闘 ~ミタキ君覚醒編~
こっちの魔法は事前に調べられ対策済みという訳か。
つまりこの襲撃は偶然ではなく計画的犯行であると。
おそらく今日残っているのがアキナ先輩と俺だけだというのも知られている。
監視を続けたうえで人数が少ない今こそいい機会だと判断したのだろう。
だが今、俺もアキナ先輩も作りたての万能魔法杖を持っている。
これは調べには入っていない筈だ。
『あの蒸気自動車は機構を知らない人がすぐ動かせる物ではないでしょう。ですから動かせないとわかると逃げるか私達を狙ってくるか、どちらかになると思います』
その通りだ。
ボイラーを熱魔法で温めたり幾つかの手順を知らないと動かすことが出来ない。
『なら攻撃をかけましょう。俺とアキナ先輩が残っているところまで知っていて対策もとっている。それなら逆に仕掛けやすい筈です』
『そうですわね』
アキナ先輩はそう言って頷く。
先輩も気づいている。
俺達が敵の知らない攻撃手段を持っている事に。
『方法はお任せします。まずは車にとりついている2人をお願いしますわ』
『わかりました』
本来の俺には攻撃魔法は無い。
ただし今は万能魔法杖を持っている。
専門の魔法使いより威力は弱いが使える魔法の種類だけは豊富だ。
だから。
個別睡眠魔法、対象先頭の敵1、実行!
個別睡眠魔法、対象先頭の敵2、実行!
倒れない。
やはり穏便な魔法では倒せないようだ。
熱魔法もアキナ先輩が試したけれど駄目。
なら電撃魔法はどうだ!
電圧差1000ボルト、耐えている。
電圧差10000ボルト、よし動きが止まった!
もう一人にも同じ魔法をかける。
びくっと動いて倒れた。
次は!
『なかなか倒れない!』
アキナ先輩はこっちに向かっている2人と魔法戦闘中。
俺達も軽い衝撃と軽い眠気を感じる。
これは電撃と睡眠魔法だな。
二重にかけた耐魔法防護が効いているようだ。
ただあまり長く攻撃されるのもまずいかもしれない。
さっきと同じ電撃魔法で2人を狙う。
びくっと動いた後2人とも倒れた。
よし最後の1人!
俺は最奥にいる別行動の1人、おそらくこの部隊の指揮官を狙う。
電撃魔法、電圧差10000ボルト、実行!
効かない!
電撃魔法に耐性があるのか!
『その対象には熱魔法も効きません』
何だと。なら風魔法!
駄目だ跳ね返された。
敵の魔法攻撃を感じる。
おそらく電撃系だ。
でもこっちは二重に耐魔法防護が効いている。
静電気以下の衝撃しか感じない。
敵も耐魔法防護をかけているようだ。
なら通りそうな魔法は何だ。
土魔法で足下の土を掘り起こす。
連続ジャンプで逃げられた。
身体強化も使っている模様。
どんな魔法なら耐魔法防護を抜けるか。
ふと思いついた。
一般的な攻撃魔法でなければ破れるかもしれない。
工作魔法、対象敵の首関節! 実行!
バキッ!
そんな音が聞こえたような気がした。
背中側に不自然な角度で折れ曲がった首。
喉だった場所がぱっくり開き血が噴水のように噴き出している。
男はそのままがっくりと前へと倒れた。
まるで前衛芸術のようだ。
先に倒した4人も魔法で確認したところ生命反応は無い。
どうも
「まあ仕方無いよな。攻撃してくる方が悪いんだ」
そう言いつつ俺は何か不思議な手応えを感じていた。
これは癖になるかもしれない……
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