〜小梅の過去編〜後編
それから2年間、あたしと紫陽花はいつも話すようになっていった。途中では研究員達によく分からない注射をされたり、生えている花を触られたりしてきたけど、それ以上のことは何も無くあたしたちは狭い空間の中で友情が深まった。
それに最近、紫陽花とあたしに良くしてくれる研究員がいる。「落ちこぼれだから暇なんだ」といつも言っているけど…。
でもそれもあの日突然途切れてしまった。
珍しく紫陽花が研究員たちに連れていかれていた。
でもそれが…最後に紫陽花を見た姿だった。
待っても待っても紫陽花は帰ってこない。どうしてだろう。何があったのだろう。不安が積み重なり、うずくまっていると。表のガラスからドンッという何かがぶつかる音が聞こえてきた。
ばっと見ると落ちこぼれの研究員だった。すると、
「後ろに下がって!」
と大声で言われあたしは驚きながらも部屋の端まで下がった。
すると落ちこぼれの研究員は手に持っていた刀でガラスを切り刻んだ。
「ちょ、ちょっと!?!あんた何やって…」
「早く出て!!!!!他の人に見つからないうちに!」
「まって!どういうこと?!逃げるってどこに?!それに…紫陽花は?!」
「施設を出たすぐそこに、私のお師匠様がいる!その人の元に行って!紫陽花ちゃんは…私が来た時には見かけなかった…ごめんなさい」
「お師匠…?それにあんた…刀って…!」
「そう!行ってなかったね。私はちょっとした忍びでね。でももうきっと使わないからこの刀は小梅ちゃんにあげる!!」
刀を持った私を引っ張り、壊されて外の見えた壁に投げ込む
「逃がしたのはおまえか!抑えろ!」
他の研究員達が駆けつけてき、落ちこぼれの研究員を取り押さえる。
「さぁ!行って!!小梅ちゃん、強くなってね!」
「ーーっ!!!!」
心残りはあるけど、あの研究員を助けるために、
……紫陽花を見つけるために。
私はお師匠から刀の稽古を4年間続けてる内に、娯楽とも言える和菓子作りもして、お師匠の元を離れて強くなるために旅に出ることにした。
めげないよ!!だってあたしは小梅だもん!
焔の旅〜小梅〜 しゃけ @Shakenoko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。焔の旅〜小梅〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます