第18話

「いつがいいかしらね。今度の週末とかはどう?」

そんな私を他所におばあちゃんは張り切ったように弾んだ声を出す。

「……」

「高校生の男の子ならお茶にお誘いするよりもご飯に招待した方がいいかしらね」

「……」

「でも初めて家にお呼びするのに夕食だと時間が遅くないかしら?」

「……」

最早、私が返事をしようがしまいがおばあちゃんはどんどん話を進めていく。

聞いている分に私に置尋ねているように聞こえなくもないけど、私からすればそれは明らかな独り言になってしまっている。

……どうしよう。

ここはおばあちゃんの暴走を止めるべきだよね?

そう考えた私は――

「あっ、そうだ。お昼ご飯に招待すればいいわ。ねっ、朱莉」

「……おばあちゃん」

「そうと決まれば早速明日、その子に週末の都合を聞いて来てくれる?」

「……あの……」

なんとか暴走するおばあちゃんを落ち着かせようと試みるけど

「献立はなににしようかしら。若い男の子なんだからやっぱりお肉かしらね」

おばあちゃんは私の声に全く耳を傾けてくれない。

だから仕方なく

「おばあちゃん!!」

私は大きな声を出した。


私の大きな声におばあちゃんはハッと現実に引き戻されたように言葉を飲み込み

「どうしたの?」

その代わりに困惑と驚きを含んだ表情で私を見つめてきた。

おばあちゃんの眼差しをまっすぐに受け止めながら

「……断ろうと思ってるの」

私は言葉を紡ぐ。


「えっ?」

「今日はびっくりして断れなかったけど、明日ちゃんと断ろうと思ってるの」

「断る?」

「うん」

「それってお付き合いはできませんってその子に言うってこと?」

「うん」

「どうして?」

「私は彼のことを知らないし」

「うん」

「一目惚れって物語の中でしかありえないことで現実にあることだとはどうしても思えないの」

「その子の言葉が信じられないのね?」

「うん。本当なら今日、告白をしてくれた時にきちんとお断りするべきだったんだけど、それが出来なくて……」

「うん」

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