第17話

……えっ?

ロマンチック?

おばあちゃん、今そう言ったよね?


「お……おばあちゃん?」

「そうよね。そういうこともあるわよね。今までは女子校だったけど高校は共学で男の子もいるんだし。それでどうお返事したの?」

ひとり納得したように呟いたおばあちゃんがグイっと私に顔を近付けてくる。


「……えっと……」

「まさかお断りしちゃったの?」

「……それは……」

「どうしたの?」

「ほ……本当は断りたかったんだけど……」

「けど?」

「断れなかった」

「どうして?」

「怖くて」

「怖い?」

「うん」

「どんなふうに怖いの?」

「一言でいうとその告白してきた男子ってものすごく不良みたいなの」

「不良?」

「うん。髪の毛は染めてるし、私と同じ一年生なのに制服だってちゃんと着てないし」

「そうなの?」

「うん」

「でも今時、そのくらい普通なんじゃない?」

「普通?」

「うん。髪の毛を染めたり制服を気崩すくらい普通だと思うわよ」

「えっ!? そうなの!?」

おばあちゃんの言葉に私は愕然とした。

百鬼 大翔を見て私は不良だと思った。

紛れもない不良だと……。

だけどおばあちゃんに言わせると百鬼 大翔は不良ではないらしい。

それどころか普通らしい。

どこからどう見ても私は彼が普通だとは思えなかった。

だからおばあちゃんの言葉を受け入れることなんてできなかった。

「でもそれっておばあちゃんがその人を見ていないからそう言えるんだと思うよ」

「そうかしら?」

「そうだよ。おばあちゃんも見たら絶対に不良だって言うと思うよ」

「じゃあ、ウチに連れていらっしゃいよ」

「はい!?」

「そうよ、それがいいわ。おばあちゃんが不良かそうじゃないか判断してあげるから」

なぜか楽しそうなおばあちゃんに私は唖然としてしまった。


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