第5話
ダメだ。
これは絶対に口に出して言ってはいけない。
自分で自分に言い聞かせた私は
「その告白の相手って私で合ってますか?」
「なに言ってんの? 俺、ちゃんと小櫻さんって呼びかけたよね」
「……そう言われてみれば確かに……」
「でしょ? 君の名前は小櫻朱莉ちゃんで間違いないよね?」
「はい」
「うん……ってことは人違いなんかじゃないよね?」
「そうですね」
「他に言いたいことは?」
「えっと……私とあなたは恐らく面識がないと思うんですけど」
そう。
私はこの人と面識がない。
それなのに付き合いたいだなんて思うはずがない。
……ということは、やっぱりこれは罰ゲーム的ななにかじゃないだろうか。
私の推測は
「あぁ、だから言っただろ?」
「……?」
「一目惚れだって」
「……一目惚れ……」
あっという間にぶった切られてしまった。
これで人違いでは?という可能性に続いて罰ゲーム的ななにかという可能性もなくなってしまった。
確かに私は誰かに話し掛けなきゃと思っていた。
それは周りが知らない人ばかりだけど、早く友達を作らないといけないと思っていたからだ。
友達が欲しい。
それは間違いなく私の切実な願いだった。
だけど友達じゃなくて彼氏とか……そんなのまだ考えられないんですけど!?
私は頭の中が真っ白になっていた。
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